平成最後の春、福田健太郎さんが写真展で新作を発表する。2015年には全国の桜をまとめているが、今回は福島の桜の季節に写し取った作品で構成した。
「20歳のころに初めて福島県中通り地方を訪れ、なんて素晴らしい土地なんだろうと感動しました。写真家として独立してから本格的に中通りに通うようになり、約25年になります」
初めは桜の美だけを抽出していたと福田さんは語る。しかし年を重ねていくうちに自分が惹かれているのは桜を守る人々がいる風土だと気づいた。
「気持ちに大きな変化が起きたのは、2011年の東日本大震災のとき。その春、葛藤がありながらも福島を訪れました。でも被災した風景を前に、撮影はほとんどできなかった。言葉にならない悔しさ、そして春は必ず巡ってくるのだと感じ、自分は何を見つめていくのかを改めて考えさせられました」
人生に大切なものは何かを問いながら、福田さんは今後も福島に通い、桜の風景を追い続けるという。この写真展は一つの節目として、桜とともにある人々や環境も描いて時代性を意識した内容とした。平成とはどんな時代だったのか。私たちに静かに語りかける。
■福田健太郎写真展「平成・桜・福島」
＜東京＞
会期 2019年3月8日（金）～13日（水）
会場 オリンパスギャラリー東京
住所 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビルB1F オリンパスプラザ東京内
時間 11:00〜19:00（最終日は15:00まで）
休館日 木曜
料金 無料
ギャラリートーク 2019年3月9日（土）会場にて14:00～15:00。参加無料、予約不要。
問い合わせ オリンパスギャラリー東京（TEL 03-5909-0191）
＜大阪＞
会期 2019年3月22日（金）～28日（木）
会場 オリンパスギャラリー大阪
住所 大阪府大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル1F オリンパスプラザ大阪内
時間 10:00〜18:00（最終日は15:00まで）
休館日 日曜・祝日
料金 無料
ギャラリートーク 2019年3月23日（土）会場にて、1部 12:30～13:30 / 2部 15:30～16:30。参加無料、予約不要。
問い合わせ オリンパスギャラリー大阪（TEL 06-6535-7911）
〈文〉鬼沢幸江