写真が伝える現実の重みに圧倒される「世界報道写真展2019」

2018年、全世界で撮影された報道写真から優れたものを紹介する「世界報道写真展2019」が東京都写真美術館で開催される。会期は2019年6月8日から8月4日。

 

世界報道写真展2019(C)ジョン・ムーア(アメリカ、ゲッティイメージズ)

 

オランダにある世界報道写真財団が主催し、10数名からなる国際審査員団が選考する。写真展は世界の約100会場で開かれ、トータルで400万人余が足を運ぶ。

最も優れた写真に贈られる世界報道写真大賞には「国境で泣き叫ぶ少女」が選ばれた。アメリカとメキシコの国境で移民が国境監視員に取り調べを受けているシーンだ。不法移民に対し尋問中、親と子を離す措置を取っていたが、この1枚がきっかけとなり親子の分断はなくなった。なおゲッティイメージズでも毎年、配信した写真から「最高の1枚」を選んでおり、同社も大賞受賞者ジョン・ムーアさんのこの写真を選んでいる。

審査部門は現代社会の問題、一般ニュース、環境、自然、長期取材、スポーツ、スポットニュース、ポートレートの8部門で、それぞれ単写真と組写真がある。また今回よりそれぞれの部門において複数の写真を使いストーリーとして事象を表現したものを選ぶ「世界報道写真ストーリー大賞」が新設された。各部門1位から3位を選出し、そこから1点に世界報道写真ストーリー大賞を授与する。

栄えあるその大賞には、スポットニュースの部 組写真1位の「移民キャラバン」(ピーター・テン・ホーペンさん)に決まった。メキシコ南部の郊外では多くの移民が国境に向かい歩く。横を通る車の中には彼らを途中まで乗せ、支援の気持ちを表す人もいる。

応募は昨年を凌ぐ129の国と地域から4738名による7万8801点に上った。受賞者は25か国43名で、うち女性は32%(2018年は12%)を占めた。本展は以降、大阪、滋賀、京都、大分へと巡回される。

 

■世界報道写真展2019

会期 2019年6月8日(土)~8月4日(日)
会場 東京都写真美術館 B1F展示室
住所 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間 10:00〜18:00(木曜・金曜は20:00まで 入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜(7月15日は開館し翌16日休館)
料金 一般800円 学生600円 中高生・65歳以上400円 
問い合わせ 東京都写真美術館(TEL 03-3280-0099)

<巡回展>

2019年8月6日(火)~15日(木)ハービスHALL(大阪)
2019年9月23日(月・祝)~10月5日(土)立命館大学 びわこ・くさつキャンパス(滋賀)
2019年10月7日(月)~31日(木)立命館大学 国際平和ミュージアム(京都)
2019年11月3日(日・祝)~15日(金)立命館アジア太平洋大学(大分)

 

 

 

〈文〉市井康延