大石芳野さんの写真展「長崎の痕 (きずあと) それでも、ほほえみを湛えて、生きる。」が、東京と大阪で開催される。
戦争、災害は多くの人々を傷つけ、人生を狂わせる。国の救済の網の目は粗く、多くの棄民が生まれる。大石さんはそうした人たちを訪ね、話を聞き、彼らの姿を写真に収めてきた。国内はもちろんカンボジアの大虐殺、ベトナム戦争のその後など、想像を超える苦難の物語に向き合ってきた。それは肉体的にも精神的にもタフなことだ。
「1995年に『HIROSHIMA 半世紀の肖像』を出版後、長崎に通い始め、7年ほど前から集中して取り組みました」
理由は二つ。一つは被爆した経験を記憶する世代が高齢化して鬼籍に入るなど、話を聞くことができなくなってきたからだ。あの日何が起き、その後、どう生きてきたか。『長崎の痕』ではさまざまな人生と、その人の今を収めた。
「今、同じときを生きている人です」と大石さん。彼らの人生に起きたことはいつ自分に起きてもおかしくない。「あと私自身、体力が落ち、いつまでこれまで通りの取材ができるか不安を感じ始めたからです」と話す。とはいえ、来月には福島へ取材に向かう。
■大石芳野写真展「長崎の痕 (きずあと) それでも、ほほえみを湛えて、生きる。」
<東京>
会期 2019年7月4日(木)~10日(水)
会場 キヤノンギャラリー銀座
住所 東京都中央区銀座3-9-7
時間 10:30〜18:30(最終日は15:00まで)
休館日 日曜・祝日
料金 無料
ギャラリートーク 7月8日(月)15:00より会場にて
問い合わせ キヤノンギャラリー銀座(TEL 03-3542-1860)
<大阪>
会期 2019年7月25日(木)~31日(水)
会場 キヤノンギャラリー大阪
住所 大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト1F
時間 10:00〜18:00(最終日は15:00まで)
休館日 日曜・祝日
料金 無料
問い合わせ キヤノンギャラリー大阪(TEL 06-7739-2125)
〈文〉鬼沢幸江