岩波友紀さんの写真展「Blue Persimmons」が、銀座と大阪のニコンサロンで開催される。
目に見えない被害を見つめる
岩波さんは東日本大震災の被災地、福島を撮影し続けている。初めは太平洋沿岸の浜通り地方を当時の避難区域を中心い通い、3年後に福島に移り住んでからは浜通りに加えて中部の中通り地方へも足を運んでいる。
「原発事故による被害を可視化したいと考え、撮り始めて4年間ほどはずっと風景を撮影していました」
時間が経つにつれて景色が目に見えて荒れていった。しかし、4年を過ぎたころからは人にカメラを向けるようになったと岩波さんは語る。
「原発事故とは人間が人間に対し被害を与えたもの。それまでの繋がりが絶たれ、人の心に付きまとう不安が最大の被害です。風景以上にその被害が見えないものでしたので、逃げずに人々の心の内を表現しようと思いました」
作品は人と風景を交差させて展示することで、土地と人、あるいは人と人との分断、人の心の分断を表すという。
「この問題は何が正しく、どうするべきか、誰もわからない。そのわからない状態を表現したいし、そんな中で生きていく人たちを表現したいです」
朝日新聞文化財団助成事業として開催される。
■岩波友紀写真展「Blue Persimmons」
<東京>
会期 2019年8月21日(水)〜9月3日(火)
会場 銀座ニコンサロン
住所 東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA(ストラータ ギンザ)1F
時間 10:30〜18:30(最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
問い合わせ 銀座ニコンサロン(TEL 03-5537-1469)
<大阪>
会期 2019年9月12日(木)〜25日(水)
会場 大阪ニコンサロン
住所 大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13F
時間 10:30〜18:30(最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
問い合わせ 大阪ニコンサロン(TEL 06-6348-9698)
〈文〉鬼沢幸江