土門拳文化賞の25周年記念写真展と第25回受賞作品展が各地で開催

アマチュア写真家を対象にした公募である「土門拳文化賞」が今年25周年を迎えた。第25回受賞者が決まったほか、酒田市土門拳文化賞25周年記念写真展が企画されている。

 

第25回酒田市土門拳文化賞「糸遊〜GOSSAMER」より(C)上瀧由布子
▲第25回酒田市土門拳文化賞「糸遊〜GOSSAMER」より ©上瀧由布子

 

山形県酒田市に土門拳文化館が開館して10周年を記念し、この賞は創設された。写真のリアリズム性を提唱した土門拳の哲学を継承し、現実に向き合って記録する写真作品が寄せられてきた。応募は1テーマ10点以上30枚以内の組写真という高いハードルも課せられている。今回の応募総数は、全国35都道府県の137名から143テーマが集まった。入賞作品は例年規定上限の30枚で組む人がほとんどだという。

第25回酒田市土門拳文化賞は上瀧由布子さんの「糸遊〜GOSSAMER」(モノクロ30枚組)に決まった。タイトルは春の季語で、“陽炎”“儚さ”を指す。日々、目に留まった瞬間を捉え、その言葉から掬い上げられた写真で構成した作品だ。「日常生活の普遍的な世界を捉えて、“生きている”とはどういうことかを写真で表現している」と審査員の藤森武さんは評した。

奨励賞は管野千代子さん、寺本雅彦さん、新海裕幸さんに決まった。受賞作品展は2019年9月27日から11月10日に土門拳記念館で開かれ、ニコンプラザ新宿・大阪へ巡回する。

 

ヤギ爺(C)中村邦夫
▲ヤギ爺 ©中村邦夫(第2回酒田市土門拳文化賞受賞)

 

酒田市土門拳文化賞25周年記念写真展は、歴代受賞者のその後の活動を紹介する。文化賞と奨励賞を受賞した39名が1人2点を出品。受賞後も長く写真に取り組む人が多いこともこの賞の特筆すべき点だろう。

第2回受賞者の中村邦夫さんは、近所に住み、自然とともに暮らす老人を6年間撮影した。第19回受賞者の小林勝利さんは山村の生活を記録したくて、高知県仁淀川町を中心に38年間通っている。まず2019年9月24日から30日に酒田市美術館市民ギャラリーで開かれ、11月14日から20日に東京・アイデムフォトギャラリー「シリウス」、その後2020年1月31日から2月13日にオリンパスギャラリー大阪へ巡回する。

 

■第25回酒田市土門拳文化賞受賞作品展

<山形>

会期 2019年9月27日(金)〜11月10日(日)
会場 土門拳記念館
住所 山形県酒田市飯森山2-13 飯森山公園内
時間 9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日 会期中無休
料金 [9月まで]一般430円 高大生210円 [10月以降]一般440円 高大生220円
問い合わせ 土門拳記念館(TEL 0234-31-0028)

<東京>

会期 2019年11月26日(火)〜12月2日(月)
会場 ニコンプラザ新宿 THE GALLERY 新宿1・2
住所 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28F
時間 10:30〜18:30(最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
問い合わせ THE GALLERY 新宿(TEL 03-3344-0565)

<大阪>

会期 2019年12月12日(木)〜18日(水)
会場 ニコンプラザ大阪 THE GALLERY 大阪
住所 大阪市北区梅田2-2-2 ヒルトンプラザウエスト・オフィスタワー13F
時間 10:30〜18:30(最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
問い合わせ THE GALLERY 大阪(TEL 06-6348-9698)

 

■酒田市土門拳文化賞25周年記念写真展

<山形>

会期 2019年9月24日(火)〜30日(月)
会場 酒田市美術館 市民ギャラリー
住所 山形県酒田市飯森山3-17-95
時間 9:00〜17:00(初日は12:00から 最終日は15:00まで 入館は閉館30分前まで)
休館日 会期中無休
料金 無料
問い合わせ 酒田市美術館(TEL 0234-31-0095)

<東京>

会期 2019年11月14日(木)~20日(水)
会場 アイデムフォトギャラリー「シリウス」
住所 東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F
時間 10:00〜18:00(最終日は15:00まで)
休館日 日曜・祝日
料金 無料
問い合わせ アイデムフォトギャラリー「シリウス」(TEL 03-3350-1211)

<大阪>

会期 2020年1月31日(金)~2月13日(木)
会場 オリンパスギャラリー大阪
住所 大阪府大阪市西区阿波座1-6-1 MID西本町ビル1F オリンパスプラザ大阪内
時間 10:00〜18:00(最終日は15:00まで)
休館日 日曜・祝日
料金 無料
問い合わせ オリンパスギャラリー大阪(TEL 06-6535-7911)

 

 

〈文〉市井康延