都会のカラスを通して街の姿を捉えた 清水哲朗写真展「トウキョウカラス」

清水哲朗さんの写真展「トウキョウカラス」が、2020年9月1日より開催される。

 

清水哲朗写真展「トウキョウカラス」

愛ある眼差しで追い続けた

清水哲朗さんにとって「トウキョウカラス」は、写真家の原点といえる作品だ。竹内敏信さんのアシスタントを務め始めた1995年から独立後までの約8年間に、東京の渋谷などでカラスの生態を通して街の様子を捉えたモノクロのドキュメンタリーである。

「二十代前半の当時、自分はこれで食べて行くんだと考えていた思い入れの強い作品です。100年に一度の大改修で変わりゆく渋谷を見ているうちに、今が発表どきだと思うようになり、昨年夏ごろからセレクトを始めました」

撮影メモを元にフィルムを整理し、時を経て初めて全貌を把握した。それらの作品にはカラスへの愛ある視点と若さゆえのギラギラした勢いを感じ、発表する意義を見いだしたという。

「街のカラスはゴミを漁る悪者とされることが多いですが、悪いのは飽食で生ゴミを出す人間のほうだと思っていました。むしろ、好奇心旺盛で愛嬌があり、家族愛も強いカラスの余裕ある生き方が理想だと憧れていたほどです」

カラスを追うなかで出会ったネズミとネコの作品を加えた「東京三部作」は実現に至らなかったが、今回はそれらの作品の一部を含めて構成した。幻のデビュー作が満を持して発表される。

 

清水哲朗写真展「トウキョウカラス」

 

清水哲朗作品展 「トウキョウカラス」

会期 2020年9月1日 (火) 〜27日 (日)
会場 JCIIフォトサロン
住所 東京都千代田区一番町25 JCIIビル1階
時間 10:00〜17:00
休館日 月曜 (祝日の場合は開館)
料金 無料
問い合わせ JCIIフォトサロン (TEL 03-3261-0300)

清水哲朗講演会「原点を語る」

日時 2020年9月13日 (日) 14:00~16:00
会場 JCIIビル 6階会議室
定員 50名
受講料 300円 (友の会会員・学生無料)
申し込み JCIIフォトサロンにて直接または電話で

 

 

 

〈文〉鬼沢幸江