幕末から現在までの日常を写真で辿る マーク・ピアソン フォト・コレクション展「忘却の彼方へ」

マーク・ピアソン氏はアジアや日本の写真に興味を持ち、アートコレクターからギャラリーを立ち上げ、写真家の活動をサポートするまでになった。氏のフォトコレクションを紹介する企画展が奈良市写真美術館で開幕した。

マーク・ピアソン フォト・コレクション展「忘却の彼方へ」
© フェリーチェ・ベアト「魚売り」1867年

 

企画展は3回シリーズで、まずは「忘却の彼方へ − 日本写真の黎明期から現在まで 第一章 : 日常生活 1850–1985」を2021年2月14日まで開く。

イギリス出身のピアソン氏は1981年に初めて来日し、その後、日本に移り住んだ。投資の専門家として活動する一方で、写真に興味を持つ。そして今、そのコレクションは5万点に上る。セレクトの基準は「自分に語りかけてくる写真」。それは歴史的、また社会的関連性や、美学的な美しさを持つものなどだという。

この企画展ではそうして集められた写真群から、100年を超す日本の日常生活の変化を辿る。幕末から明治期は海外から来た写真家たち、ベアトやファルサーリらが記録した写真で紹介する。

その後は福原信三、木村伊兵衛、植田正治、桑原甲子雄、小島一郎、森山大道らが撮影した地方の暮らしや街のスナップなどを展示。パーソナルかつ異国の眼で選ばれた写真は、また違う感興をもたらすはずだ。

■出品作家

フェリーチェ・ベアト、ライムント・フォン・スティルフリード、アドルフォ・ファルサーリ、日下部金兵衛 、福原信三、吉野銈一郎、木村伊兵衛、ハナヤ勘兵衛、小石 清、フランシス・ハール、名取洋之助、植田正治、桑原甲子雄、小島一郎、丹野 章、井上青龍、浜口タカシ、南 良和、桑原史成、森山大道、渡辺 眸、橋本照嵩、須田一政、荒木経惟、北井一夫、百々俊二、入江泰吉 (館蔵品) ほか

 

マーク・ピアソン フォト・コレクション展「忘却の彼方へ − 日本写真の黎明期から現在まで」第一章 : 日常生活 1850–1985

会期 2020年11月21日 (土) 〜2021年2月14日 (日)
会場 入江泰吉記念 奈良市写真美術館
住所 奈良県奈良市高畑町600-1
時間 9:30〜17:00 (入館は16:30まで)
休館日 月曜 (祝日の場合は開館)・祝日の翌日・12月25日〜1月4日
料金 一般500円、高大生200円、小中学生100円、奈良市在住の70歳以上無料 (土曜は高校生以下無料)
問い合わせ 奈良市写真美術館 (TEL 0742-22-9811)

 

 

 

〈文〉市井康延