大西みつぐさんの写真展「地形録東京・崖」が、2021年4月1日より開催される。
下町と山の手の境界を歩く
1970年代から今日まで、大西みつぐさんは生まれ育った東京下町と湾岸の人や風景を撮り続けてきた。近年は東京の東側の水辺にまつわる作品を続けて発表しているが、2017年ごろからは西側へ足を運ぶようになった。
「東京は沖積層の下町低地と洪積層の山の手台地からできているのは周知の事実ですが、坂を一つ歩くだけでも江戸から東京への時間軸と空間との関わり、歴史、営みといったものが浮かんできます。下町にはない地形の起伏を意識しながら歩き、町を見つめようと思って始めたのがこのシリーズです」
今回発表する「地形録東京」第一章のテーマは「崖」。撮影地はJR京浜東北線沿いの上野から赤羽、そして大森・大井町・品川のライン。下町と山の手の境界を丹念に歩いて撮影した。
「測量にも似た作業ですが、コンセプチュアルな写真として組み立てるつもりはありません。基本は、いつもの気まぐれな歩行。どちらかといえば永井荷風が大正3年から4年にかけて『三田文学』に連載した『日和下駄』という歩行録に近いものかもしれません」
写真展では作品約40点に加え、町で見つけた物のピンナップコラージュも展示。舞台がどこであれ不変の視点で、地形が描く歴史や文化を伝える。
大西みつぐ写真展「地形録東京・崖」
会期 2021年4月1日 (木) 〜25日 (日)
会場 コミュニケーションギャラリーふげん社
住所 東京都目黒区下目黒5-3-12
時間 12:00〜19:00 (土・日曜は18:00まで)
休館日 月曜・祝日
料金 無料
問い合わせ コミュニケーションギャラリーふげん社 (TEL 03-6264-3665)
ギャラリートーク
4月9日 (金) 19:00より写真展会場とオンライン配信にて。ゲストに東京スリバチ学会会長の皆川典久さんを迎え、大西さんと語り合う。参加費1000円、要予約。申し込みはふげん社へ電話またはEメールで。
〈文〉鬼沢幸江