最前線で活躍してきた写真家の“新しいドキュメンタリー”「新・晴れた日 篠山紀信」展

1960年代から写真家として最前線で活動してきた篠山紀信さんが、初めて東京都写真美術館で個展を開く。2フロアを使い、60年に及ぶ活動を展観する「新・晴れた日」だ。

新・晴れた日 篠山紀信
〈TOKYO NUDE〉[表参道・結晶のいろ] 1986-92年 © Kisin Shinoyama

 

『晴れた日』は1975年に出版された初期の代表作。写真家の感性に引っかかる被写体に即応し、時代の雰囲気を写し出す「新しいドキュメンタリー」を標榜した。

本展はその構造を使い、二部構成で約110点を紹介する。第1部 (3F展示室) は1960年代から70年代の主要作品を見せる。この時期、注目された『家』は北海道から沖縄まで、日本の古民家50余軒を撮影。建物そのものではなく、暮らしの痕跡を探り、過ぎ去った時の集積を撮ろうと試みた。

第2部 (2F展示室) は1980年代以降に写真集で発表したものを中心にセレクト。激変する80年代は複数のカメラを組み合わせた「シノラマ」を自作して撮影した。『TOKYO NUDE』(1990年) はそのシノラマを使い、都市の風景と女性をモチーフに狂騒した時代の雰囲気を描き出した。

『ブルータス』で長期連載した「人間関係」には500名を超す各界の著名人が登場。本展ではその一部も紹介。雑誌とともに今を見続けてきた写真家の八面六臂の活躍ぶりが伝わってくる。

本展は緊急事態宣言の発令により休止されていたが、6月1日に再開。観覧はオンラインによる日時指定予約が推奨されている。

新・晴れた日 篠山紀信

会期 2021年5月18日 (火) ~8月15日 (日)
会場 東京都写真美術館 2・3F展示室
住所 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間 10:00〜18:00 (入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜 (祝日の場合は開館し翌平日休館)
料金 一般1200円、学生950円、中高生・65歳以上600円 (第1部または第2部のみは一般700円、学生560円、中高生・65歳以上350円)
オンライン予約 WEBサイトより
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4019.html

問い合わせ 東京都写真美術館 (TEL 03-3280-0099)

 

 

〈文〉市井康延