独特の眼差しで浮かび上がった“自然の深淵” 小林紀晴写真展「深い沈黙」

小林紀晴さんの写真展「深い沈黙」が、2021年7月20日より開催される。

小林紀晴写真展「深い沈黙」

死を思わせる原風景

八ヶ岳に広がる冬枯れの景色はどんよりとして色がなく、まるですべてを閉じ込めてしまったかのような恐ろしさがあり、死を連想させる。この地に生まれ育った小林紀晴さんは、幼少期から気になっていたという故郷の原風景をいつか撮影したいと考えてきた。

「この風景に視界を覆われると、つらく寂しい気持ちになる。それでいて、ずっと見ていると心が落ち着いていく。不思議というか当たり前というか。でも、そのことについて誰も口にしなかった。自分でも言葉で説明することができない。答えが見つからないまま撮影を進めていくなかで、ある哲学者の言葉に出会って腑に落ちました。『自然は黙するがゆえに悲しむのである』。やっと確信を得ることができました」

撮影地は長野をはじめ、福島や山形、青森、北海道などだが、地域性を表すのではなく、抽象性の高い写真を求めた。特に降雪から数日後、木から落ちた雪が山の斜面に残っている風景を多く捉えている。

写真展では同名の写真集『深い沈黙』から、2019年以降に「ニコン Z 7」で撮影した11点を展示。その独特の眼差しにより、自然の深淵が浮かび上がる。

小林紀晴写真展「深い沈黙」

<東京>

会期 2021年7月20日 (火) 〜8月16日 (月)
会場 ニコンプラザ東京 THE GALLERY
住所 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28F
時間 10:30〜18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜・8月12日~8月15日
料金 無料
問い合わせ THE GALLERY (TEL 0570-02-8080)

<大阪>

会期 2021年9月30日 (木) 〜10月13日 (水)
会場 ニコンプラザ大阪 THE GALLERY
住所 大阪市中央区博労町3-5-1 御堂筋グランタワー17F
時間 10:30〜18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
料金 無料
問い合わせ THE GALLERY (TEL 0570-02-8080)

 

 

〈文〉鬼沢幸江