岡野昭一さんの写真展「紅鮭・生命の詩 −カナダ・アダムス川−」が、2021年9月2日より開催される。
紅鮭の命のドラマを描く
カナダ西部に流れるアダムス川では4年に1度、紅鮭の遡上が見られる。ビッグ・ランと呼ばれる約200万匹もの大遡上だ。少年時代からカナダの自然に憧れていたという岡野昭一さんは、1994年に初めてこの川を訪れて以来、ビッグ・ランを追い続けてきた。
「鮭は川で生まれ、海に下って回遊し、再び川に戻って産卵して命を終えます。1匹の雌鮭が産卵する卵は約4000個で、そのうち、川に戻ってくるのは約2匹。遡上の現場では川を上る鮭と流れ落ちる鮭、卵が散らばって死骸が横たわり、その傍らで別の産卵が始まる。そこには命のドラマがありました」
紅鮭は9月から約3か月にわたり、群れをなして遡上する。卵が孵化するのは12月から3月にかけて。岡野さんは7度目の取材となる2019年に、初めて孵化の撮影に成功した。
「気温はマイナス15℃前後、水温は約4℃。厳しい寒さの中、冷え切った指でシャッターを切りました」
25年間も通うことができたのは、諦めずに続ける大切さを身をもって教えてくれた師、樋口健二さんの存在があったからと岡野さんは語る。心にわき起こる好奇心を持ち続け、成し遂げた。
カナダの大自然をポートレートとして表現したという作品群。私たちにとって身近な紅鮭の、命の尊さを伝える。
岡野昭一写真展「紅鮭・生命の詩 −カナダ・アダムス川−」
会期 2021年9月2日 (木) ~13日 (月)
会場 オリンパスギャラリー東京
住所 東京都新宿区西新宿1-24-1 エステック情報ビルB1F オリンパスプラザ東京内
時間 10:00〜18:00 (最終日は15:00まで)
休館日 火曜・水曜
料金 無料
問い合わせ オリンパスギャラリー東京 (TEL 03-5909-0190)
作品解説
9月4日 (土) 14:00〜15:00、写真展会場にて。定員20名、要予約。申し込みはWEBサイトより。
https://fotopus.com/showroom/index/detail/c/3358
岡野昭一 (Shoichi Okano)
三重県四日市市出身。1995年、日本写真芸術専門学校二部報道科卒業。以後、カナダの自然をテーマに、紅鮭、オーロラ、カナディアン・ロッキーなどを撮影、作品を発表している。フォトジャーナリストの樋口健二氏に師事。
〈文〉鬼沢幸江