京都の街全体で多彩な写真が楽しめる「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021」

京都の街を舞台に展開する国際的な写真祭「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が2021年9月18日から10月17日に開かれる。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021
アーウィン・オラフ《Im Wald, Porträt VII》2020年 © Erwin Olaf

 

9回目となる今年のテーマは「ECHO (エコー)」。今年は東日本大震災と福島原発の事故から10年。かつてない災害も頻発し、それは「地球からの叫びにも聞こえる」と主催者は指摘する。そんな現在は、過去の歴史とECHO (呼応) し、未来へとつながる。過去を伝え、現在を記録する写真は「ECHO」を生み出す装置ともいえるだろう。

メインプログラムは14を企画。アーウィン・オラフは自然と人間の関係性を捉えた「Im Wald (森の中)」と、パンデミックによる自主隔離の様子を捉えた写真と映像作品「エイプリルフール」の最新作2シリーズを展示。会場は京都文化博物館 別館で、世界的なフォトグラファーによる日本初の大規模個展となる。

誉田屋源兵衛 竹院の間では「MIROIRS - Manga meets CHANEL / Collaboration with 白井カイウ&出水ぽすか」を開く。マンガ『miroirs』はシャネルというブランドから刺激を受け、『約束のネバーランド』の白井カイウ&出水ぽすかコンビが描き下ろしたもの。マンガ作品とともにロベール・ドアノー、マン・レイ、セシル・ビートンらの写真作品などを展示する。

そして、2011年に着目した5つの展示「ECHO of 2011」を二条城 二の丸御殿台所・御清所、東南隅櫓で開く。参加するリシャール・コラスは、シャネル日本法人取締役会長を務める。彼は震災後の東北を訪れ、メイクアップ・サービスをシャネルとしてボランティアで実施。そしていつもカメラを携え、沿岸地区を覆いつくした荒野と悲しみを捉えた。出会った人々の語りに基づき、その試練を写真とともに著した小説『波』を刊行。今回の作品「波−記憶の中に」は文章と写真を融合した展示となる。

サテライトイベントとして、若手写真家やキュレーターの発掘と支援を目的とした「KG+」も例年通りに行なう。

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021
リシャール・コラス「波-記憶の中に」 © Richard Collasse

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2021

会期 2021年9月18日 (土) 〜10月17日 (日)
時間・休館日 会場により異なる
料金
一般パスポート : 4,000円 (全日入場可能)
一般パスポート ドネーション付き : 10,000円 (全日入場可能)
学生パスポート (大学・高校・専門学校) : 2,000円 (全日入場可能)
ウィークデーパスポート : 3,500円 (月〜金のみ入場可能)
単館チケット : 800〜1,400円 (各会場ごとに支払い)
※購入方法はWEBサイト参照。

問い合わせ KYOTOGRAPHIE事務局(TEL 075-708-7108)

メインプログラム会場

  • アーウィン・オラフ「アヌス ミラビリス -驚異の年-」京都文化博物館 別館
  • 「MEP Studio (ヨーロッパ写真美術館) による5人の女性アーティスト展−フランスにおける写真と映像の新たな見地」HOSOO GALLERY
  • 「MIROIRS - Manga meets CHANEL / Collaboration with 白井カイウ&出水ぽすか」誉田屋源兵衛 竹院の間、黒蔵
  • リシャール・コラス「波-記憶の中に」二条城 二の丸御殿 台所・御清所、東南隅櫓
  • 片桐功敦「Sacrifice」二条城 二の丸御殿 台所・御清所、東南隅櫓
  • ダミアン・ジャレ & JR「防波堤」二条城 二の丸御殿 台所・御清所、東南隅櫓
  • 小原一真「空白を埋める」二条城 二の丸御殿 台所・御清所、東南隅櫓
  • 四代田辺竹雲斎「STAND」二条城 二の丸御殿 台所・御清所、東南隅櫓
  • ンガディ・スマート「多様な世界」フライングタイガー コペンハーゲン 京都河原町ストアー3F
  • ンガディ・スマート「ごはんの時間ですよ」出町桝形商店街
  • リャン・インフェイ「傷痕の下」Sfera
  • デイヴィッド・シュリグリー「型破りな泡」ASPHODEL
  • トマ・デレーム「Légumineux 菜光 -ヴェルサイユ宮殿庭園の古代種−」両足院 (建仁寺山内)
  • 八木夕菜「種覚ゆ」両足院 (建仁寺山内)
  • 榮榮&映里「即非京都」琵琶湖疏水記念館 屋外スペース

アソシエイテッド・プログラム会場

agnès b「Les Drôlesses」BAL LAB (京都BAL 4F)

KG+会場

 

〈文〉市井康延