世界中にコレクターを持つ写真家・井津建郎の活動50周年記念展を3つのギャラリーで開催

井津建郎さんは1970年代からニューヨークを拠点に活動し、世界中に多くのコレクターを持つ。作家活動50周年を記念し、東京の3つのギャラリーで個展を開く。

井津建郎写真展「地図のない旅」
「地図のない旅」より © Kenro Izu

 

井津さんは世界の聖地やアンコール遺跡などを被写体に選び、多くの作品を制作してきた。14×20インチの大判カメラで撮影し、独自のプリント技法で生み出された作品は美しく、圧倒的な存在感を持つ。

今回の記念展は3か所で別々のシリーズを展示し、幅広い活動のエッセンスを見せる。PGIでは「もののあはれ」と題し、近年取り組んできた能面シリーズを中心に構成した。能楽の重要な道具である仮面に「奥深くも美しい精神性を感じた」と話す。磐座や神社周辺の自然、自然光で撮影した静物など、ゼラチンシルバープリント約25点を展示する。

ルーニィ 247ファインアーツではデビュー作から1990年代までの作品からセレクトした「地図のない旅」を開く。最高の材料で制作されたビンテージプリントなど30点が並ぶ。原材料の高騰でプリント価格も上昇傾向にあるそうで「小品で15万円から、大判のプラチナプリントが40万円程度」で購入できるチャンスだと、ルーニィの篠原俊之さんは推す。

iwao galleryでは未発表作品展「1975-2016 井津建郎 地図のない旅」と銘打ち、これまで埋もれたままでいた写真から自身が選んだ作品を紹介する。

なお、50周年記念写真集を制作中で、会場で予約受付を行なう。

井津建郎 作家活動50周年記念展

井津建郎作品展「もののあはれ」

会期 2021年11月24日 (木) 〜2022年1月21日 (金)
会場 PGI
住所 東京都港区東麻布2-3-4 TKBビル3F
時間 11:00〜18:00
休館日 日曜・祝日・12月25日〜1月5日
料金 無料
問い合わせ PGI (TEL 03-5114-7935)

井津建郎写真展「地図のない旅」

会期 2021年11月23日 (火・祝) 〜12月5日 (日)
会場 Roonee 247 Fine Arts (ルーニィ 247 ファインアーツ)
住所 東京都中央区日本橋小伝馬町17-9 さとうビルB館4F
時間 12:00〜19:00 (最終日は16:00まで)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ Roonee 247 Fine Arts (TEL 03-6661-2276)

未発表作品展「1975-2016 井津建郎 地図のない旅」

会期 2021年11月17日 (水) 〜28日 (日)
会場 iwao gallery
住所 東京都台東区蔵前2-1-27-2F
時間 12:00〜19:00 (最終日は17:00まで)
休館日 月・火曜
入場料 無料
問い合わせ iwao gallery (TEL 03-5846-9313)

 

 

井津建郎 (Kenro Izu)

1949年大阪府生まれ。日本大学芸術学部に学んだ後、1971年に渡米。以来ニューヨークを拠点として作品制作と発表を続け、現在に至る。30数年間にわたって世界の聖地を14×20インチのカメラで撮影、プラチナプリントによる表現を続ける。作品はニューヨーク・メトロポリタン美術館をはじめ、アメリカを中心に多数の美術館に収蔵されている。写真集に『Seduction』『Eternal Light』『Requiem』『FUZHOU -The Forgotten Land-』など多数。2021年秋、ニューヨークより金沢へ居を移す。
→ WEBサイト

 

〈文〉市井康延