膨大な写真の断片をつなぎ合わせて表現した写真家・西野壮平の現在地「線をなぞる “tracing lines”」展

西野壮平さんの写真展「線をなぞる “tracing lines”」が、2022年1月20日より開催される。

西野壮平写真展「線をなぞる “tracing lines”」
※完成した作品は『CAPA』2022年2月号で紹介しています。

「移動」の意味を考える

西野壮平さんは、国内外において都市や自然を撮影し、その写真の断片を記憶に基づいてつなぎ合わせるという写真コラージュの作品を制作している。

今回の写真展では、2018年以降に取り組んだ5つのプロジェクトから約100点の作品を展示する。このうち3つはコロナ禍の日々において制作された新作だ。共通のキーワードは「水」「移動」。西野さんは次のように語る。

「移動について関心を持つようになったのは、2018年にイタリアのポー川沿いを1か月かけて移動した水を巡る旅がきっかけです。その後、知床の海に辿り着く流氷の移動や、人間が作り出す国境について考えるようになりました。また、エベレストでは山の道に焦点を当てて制作を行ない、その経験から日本人にとって信仰の対象であり象徴でもある富士山といかに対峙するかといったことにも目を向けました」

移動が制限された自粛生活の中、水を見つめ、移動に関する考察を深めていった。目的へのプロセスを重視する西野さんの現在地を示す写真展だ。

西野壮平写真展「線をなぞる “tracing lines”」

会期 2022年1月20日 (木) ~3月7日 (月)
会場 キヤノンギャラリーS
住所 東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
時間 10:00〜17:30
休館日 日曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリーS (TEL 03-6719-9021)

 

 

西野壮平
〈撮影〉公文健太郎

西野壮平 (Sohei Nishino)

1982年、兵庫県生まれ。歩くこと、旅を通して得た個人的体験をもとに作品を制作している。2005年写真新世紀優秀賞、2013年日本写真協会新人賞、2013年日本写真協会新人賞、ほか受賞歴多数。国内外で個展を開催している。
→ WEBサイト
→ Twitter

 

〈文〉鬼沢幸江