山岸伸さんと佐藤倫子さんの写真展「伸 × YAMAGISHI × 倫子」が、2022年1月28日より開催される。ライカのフルサイズミラーレスカメラ「ライカ SL2-S」で撮り下ろした作品だ。2人の写真家とライカはどんな化学反応を起こしたのか、その目で確かめてほしい。
■展示作品ギャラリー
それぞれのテーマを持ちつつ2人でひとつの写真展を開催
これまであらゆるカメラを使ってきた山岸伸さんだが、デジタルになったライカには触れる機会がなかった。「瞬間の顔」でライカカメラジャパンの福家一哲社長を撮影した縁から、佐藤倫子さんと写真展を開催することになり、そこから初めてデジタルのライカを手に入れた。そして実際にライカで撮ってみると衝撃を覚えたという。
写真展は通常、テーマや作品が先に存在することが多いが、今回はライカの 存在そのものが出発点となった。そのため2人ともこのカメラをいかにして自分の作品にするか、そしてそれぞれが新しい題材にどうトライするか、挑戦となったという。
ライカが舞い降りてきて新しい視点が生まれた
「何を撮ったらいいのか。この2年、世の中の状況に私自身フリーズしたまま時が過ぎていた。そんな中、ある日、ライカが舞い降りてきた。まるで水を得た魚の様に、私に“写真を撮る”意欲が湧いてきた。新江ノ島水族館との御縁はそんな私に撮る楽しみ、難しさを改めて感じさせ撮ることに挑戦という言葉がよく合う感覚にさせていった。水族館にいる生き物達は、地球上のこの事態を知ることもなく、淡々と生きているみたい。そんな彼らを目にして、それまでの眠っていた感性を目覚ましてくれたかの様に私はこのライカで夢中に写真を撮り続けた。その視点はこの水族館に留まらず日常の空間で撮るという行為へも続いていった。そう、私は写真を撮ると自問自答し続ける。そんな私にライカはじっと、そっと寄り添い、苦悩する私を静かに見守るかの様に何かを諭すかの様に、写真で表現をしてくれた」と佐藤倫子さん。
五感が呼び覚まされる感覚をライカが教えてくれた
一方の山岸さんのテーマは“五感”。 指揮者の原田さんを撮影したときに、とにかく五感が呼び覚まされるような感覚を覚えたという。「まさに音が聞こえてくるようでした。その瞬間、テーマを“五感”とするこ とに決めました。人の感じる感覚を写真に昇華して表現してみようと。そしてライカを持ったことで写真も変わりました。何気なく撮っただけでも、なぜかライカの写真はものすごく美しい。階調や色が非常に濃密に凝縮されているようで、今までこんな写真は味わったことがありません。写真も五感のひとつ。官能的ともいえるカメラにより被写体も変わる。濃密な時間を過ごせて幸せでした」
伸 × YAMAGISHI × 倫子
山岸伸「GOKAN」/ 佐藤倫子「MARINELAND」
会期 2022年1月28日 (金) 〜5月10日 (火)
会場 ライカギャラリー東京、ライカプロフェッショナルストア東京
住所 東京都中央区銀座6-4-1 ライカ銀座店2F
時間 11:00〜19:00
休館日 ライカギャラリー東京は月曜、ライカプロフェッショナルストア東京は日曜・月曜
入場料 無料
問い合わせ ライカギャラリー東京 (TEL 03-6215-7070)
山岸 伸 (Shin Yamagishi)
タレント、アイドル、俳優、女優などのポートレート撮影を中心に活躍。出版された写真集は400冊を超える。ばんえい競馬、賀茂別雷神社 (上賀茂神社)、球体関節人形などにも撮影対象を広げる。その秀逸な写真活動により平成28年日本写真協会作家賞を受賞。公益社団法人日本写真家協会会員、公益社団法人日本広告写真家協会会員、とかち観光大使。
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佐藤倫子 (Michiko Sato)
株式会社資生堂宣伝部写真製作部に入社。退社後、フリーランスに。広告写真から作家に転向。独自のオリジナリティあふれる構図でその世界観を切り抜くクリエイティブスナップ作品を都内中心に個展・グループ展を開催、創作を続ける。公益社団法人日本写真家協会会員、ニッコールクラブアドバイザー。
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〈文〉稲葉利二