動物園で写し止めた“五感を刺激する一瞬” 魏子涵写真展「情動の匂い」

魏子涵さんの写真展「情動の匂い」が、2022年2月25日より開催される。

魏子涵写真展「情動の匂い」
09873489 産婦人科の手術室へ入る清潔な廊下

五感を刺激する一瞬を描く

国内外で広く活動している魏子涵 (ギ シカン) さんが、東京で写真展を開催する。キヤノンマーケティングジャパンの写真家オーディション「SHINES」(シャインズ) の第2回入選者としての企画展だ。魏さんは展示作品について次のように語る。

「人間と動物との関係性を表現したいと思って制作した最初のシリーズです。人は動物を守り、動物は人に依存するという考えに対して、両者は相互利用する関係性だという立場から、人間の側の視点で捉えています」

撮影地は日本各地の動物園。人の嗅覚をはじめとした五感を刺激する一瞬を写し止めた。その写真に、魏さんは感じ取ったままの言葉を添えている。

「作品を通し、鑑賞者に同じイメージの記憶を呼び起こさせるのが狙いです。つまり、脳内では実際の動物を見るのと同じ体験ができるということです」

展示作品には動物の模型の写真も交ぜた。模型でも、鑑賞者は生きた動物の記憶を呼び起こすだろう。人が「見る」とは何かを問いかける写真展だ。

魏子涵写真展「情動の匂い」
09876509 戸棚から取り出したばかりの畳

魏子涵写真展「情動の匂い」

会期 2022年2月25日 (金) ~3月29日 (火)
会場 キヤノンオープンギャラリー1
住所 東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー2F
時間 10:00〜17:30
休館日 日曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリーS (TEL 03-6719-9021)

 

 

魏子涵

魏子涵 (Wei Zihan)

1994年、中国山東省生まれ。武蔵野美術大学大学院写真コースを修了。作品は主に、五感で体験できる写真を基軸として、関係性について多様な写真表現方法を探求する。国内外のギャラリー、美術館で発表を続けている。受賞歴は2021 Aperture photo prize (アパーチャ) ファイナリスト、ほか多数。
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〈文〉鬼沢幸江