井の頭の風景が違ったものに見えてくる 渡部敏哉写真展「Somewhere not Here Inokashira Edition」

渡部敏哉さんの写真展「Somewhere not Here Inokashira Edition」が、2022年3月3日から開催される。

渡部敏哉写真展「Somewhere not Here Inokashira Edition」

「Somewhere not Here」は、渡部敏哉さんが2017年から発表を続けているシリーズだ。自らの意識の底にあるイメージを写真で掬い上げる試みとして、現実感が消えた「ここではない、どこか別の場所」を暗示している。標識や名称すら存在しない、光と影のみで構築された世界を彷徨い歩くように感じられる作品である。

本展は、そのシリーズをまとめた最新写真集『Somewhere not Here』の刊行を記念して開催される。会場のbook obscuraがある東京・井の頭で撮影された写真が多く含まれているシリーズであることから、それらを厳選して10点を展示する。写真展を観た後には、井の頭公園を含めた周辺の土地が違った世界に見えてくるだろう。

渡部敏哉写真展「Somewhere not Here Inokashira Edition」

会期 2022年3月3日 (木) 〜28日 (月)
会場 book obscura (ブック オブスキュラ)
住所 東京都三鷹市井の頭4-21-5 #103
時間 12:00〜19:00
休館日 火曜・水曜
入場料 無料
問い合わせ book obscura (TEL 0422-26-9707)

 

 

渡部敏哉 (Toshiya Watanabe)

1966年、福島県生まれ。多摩美術大学在学中にPARCOが主催する「期待される若手写真家20人展」に選出される。福島第一原子力発電所事故の影響で警戒区域に指定された故郷、福島県浪江町を記録した一連の作品はLe Monde (仏)、THE BIG ISSUE (台湾) など海外メディアでも数多く紹介され大きな反響を呼んだ。 2016年 STEIDL BOOK AWARD JAPANを7名の写真家と共に受賞。2019年 Hariban Award 審査員特別賞受賞 (Martijn van Pieterson & Annemarie Zethof選)。
→ WEBサイト

 

〈文〉鬼沢幸江