無限に変貌する水の循環を追い続けた 高橋宣之写真展「神々の水系」

高橋宣之さんの写真展「神々の水系」が、2022年4月28日より開催される。

高橋宣之写真展「神々の水系」

■展示作品ギャラリー

無限に変貌する水を求めて

海から川をさかのぼり、原生林へと「水」を追い続けて半世紀。高橋宣之さんは高知を拠点に、水系の写真家として活動している。撮影は1年のうち350日にも上るという。それほどまでに没頭できるライフワークについて、高橋さんは次のように語る。

「海を15年、その後は渓谷や森を35年ほど撮影しています。水は無限に変貌し、奥深くて飽きることがありません。今も数日に1回は、深いため息がこぼれるくらいの感動があります」

高橋さんは、川の上流へ向かう途中の里山周辺でも被写体を見いだした。仏像や神像はその一つである。

「高知には清貧の神々が多く、形が崩れかけていたりもしますが、その姿は悲しさや寂しさを感じさせるだけでなく、力強い輝きを放つ瞬間があります。また、お供えを通して見えてくるような人々の営みも写真に収めています」

今回の写真展「神々の水系」では、仁淀川やその源流の原生林を中心に、里での出会いなどの最新作を含めて展示する。この50年、カメラが変わっても視点は変わらないという高橋さんが、生命を育む水の循環の至る所に宿る神々を感じながら撮影した作品群だ。

高橋宣之写真展「神々の水系」

会期 2022年4月28日 (木) ~6月15日 (水)
会場 キヤノンギャラリーS
住所 東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
時間 10:00〜17:30
休館日 日曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリーS (TEL 03-6719-9021)

 

 

高橋宣之

高橋宣之 (Nobuyuki Takahashi)

1947年、高知県生まれ。1973年に写真家として独立し、「波」の撮影に入る。1987年、マゼラン海峡で1年間ほど撮影。帰国後は「花鳥風月」をテーマに、川の流域や原生林にレンズを向ける。以後、水系の写真家として現在に至る。2010年からNHKスペシャル「仁淀川~知られざる青の世界」のクルーに参加、動画作品にも力を入れている。

 

〈文〉鬼沢幸江