写真を撮ることは“症状”だった。自身の足跡を振り返るインベカヲリ★写真展「たしか雨が降っていたから、」

インベカヲリ★さんの写真展「たしか雨が降っていたから、」が、2022年8月2日まで開催される。

インベカヲリ★写真展「たしか雨が降っていたから、」
“今ここにいる人”の演技 2019

 

さまざまな立場の女性たちの話に耳を傾け、その心の内側を描き出すような作品を発表し続けてきたインベカヲリ★さん。その原点はセルフポートレートで、初めのうち、写真は自己確認や自己表現したいという「症状」だったという。

「写真」を撮っている意識すらなかったという初期を経て、次第に女性たちの語る言葉に引かれて作ってきた「写真作品」が評価されてきたインベさんだが、本展では、デビュー当時の作品や現在の新作、またその間の作品を並べることで、自身の変化を振り返る。

印象的なタイトルは、「あの頃、自分はなにを考えていたのか。初期衝動をふりかえってみると、たしか雨がずっと降っていた、というような心象風景しか思い出せない。」というインベさんの曖昧な記憶から付けられた。

インベカヲリ★写真展「たしか雨が降っていたから、」
よき忍び込み-1 2003

インベカヲリ★写真展「たしか雨が降っていたから、」

会期 2022年7月16日 (土) ~8月2日 (火)
会場 Gallery KTO (ギャラリー クトー)
住所 東京都渋谷区神宮前4-25-7 コーポK103
時間 13:00~18:00
休館日 水曜〜金曜
入場料 無料
問い合わせ Gallery KTO (TEL 03-6881-9936)

 

 

インベカヲリ★ (Kawori Inbe)

1980年、東京都生まれ。写真家。短大卒業後、独学で写真を始める。編集プロダクション、映像制作会社勤務などを経て2006年よりフリーとして活動。2013年に出版の写真集『やっぱ月帰るわ、私。』で第39回木村伊兵衛写真賞最終候補に。2018年に第43回伊奈信男賞、2019年に日本写真協会賞新人賞を受賞。写真集に『理想の猫じゃない』『ふあふあの隙間』①②③がある。ノンフィクションライターとしても活動しており、『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』で第53回大宅壮一ノンフィクション賞候補に。著書に『「死刑になりたくて、他人を殺しました」無差別殺傷犯の論理』『私の顔は誰も知らない』など。
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〈文〉高橋佐智子