それぞれが目指す対岸を夢見て船を漕ぐ 百々俊二・新・武写真展「Dream Boat」

百々俊二さんと長男の百々新さん、次男の百々武さんによる写真展「Dream Boat」が、2022年8月12日より開催される。

百々俊二・新・武 写真展「Dream Boat」

■展示作品ギャラリー

 

親子3人展を初めて行なったのは2010年。普段から写真について語り合っているという3人が、12年の年月を経て本展を企画した。タイトルは「Dream Boat」。人生は目指すべき行き先である対岸に対して夢を見て、舟を漕ぐことと言えるのではないかと俊二さんは語る。

「親子だろうと一人ずつ違う舟に乗っていて、それぞれがどうやって対岸へ辿り着くか。そのプロセスが写真行為だと思うんですよね。今回はシリーズとしてではなく、自分の写真の変遷として見せたいと考え、構成しました」

百々俊二・新・武 写真展「Dream Boat」

俊二さんにとって記憶に残る最初の写真は、20歳になる少し前に佐世保の平瀬橋での反対闘争を撮影した1枚だという。これをはじめとする初期の写真を核として会場中央に展示し、その後の約50年間の写真を周囲に、さらにそれを囲むように新さんと武さんがそれぞれの歩みのキーワードから厳選した写真を展示する。

三者三様の個性が光る100点余りを一堂に集めることによって、百々家の写真の変遷が総覧できる大規模展だ。

百々俊二・新・武 写真展「Dream Boat」

百々俊二・新・武 写真展「Dream Boat」

会期 2022年8月12日 (金) ~10月8日 (土)
会場 キヤノンギャラリーS
住所 東京都港区港南2-16-6 キヤノンSタワー1F
時間 10:00〜17:30
休館日 日曜・祝日・8月14日 (日) 〜21日 (日)
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリーS (TEL 03-6719-9021)

 

 

百々俊二・新・武
左から百々新、武、母、俊二

百々俊二 (Shunji DoDo)

1947年、大阪生まれ。1972年、黒沼康一氏らと『地平』(1~10号) 発行。1996年、写真集『楽土紀伊半島』で日本写真協会年度賞を受賞。ほか受賞歴多数。大阪写真専門学校 (現ビジュアルアーツ専門学校・大阪) 学校長。入江泰吉記念奈良市写真美術館館長。

百々 新 (Arata DoDo)

1974年、大阪生まれ。1998年、博報堂フォトクリエイティブ入社。翌年、写真集『上海の流儀』で日本写真協会新人賞、2013年に『対岸』で第38回木村伊兵衛写真賞、2017年に映画『光』撮影監督、第70回カンヌ国際映画祭エキュメニカル賞受賞。ほか受賞歴多数。

百々 武 (Takeshi DoDo)

1977年、大阪生まれ。1999年、イイノメディアプロ入社。2000年、ZIGEN氏に師事。日本の離島を北から南へと巡った作品で、2009年に東京都写真美術館、ほか世界各地で写真展開催、写真集『島の力』刊行。2021年、写真集『生々流転』刊行。奈良県川上村を拠点に活動。

 

〈文〉鬼沢幸江