赤道直下の国々を“記録”ではなく“記憶”として伝える 小澤太一写真展「赤道白書」

小澤太一さんの写真展「赤道白書」が、2022年9月6日より開催される。

小澤太一写真展「赤道白書」
コンゴ共和国では、日曜日に「サプール」と呼ばれる高級ブランドスーツを着た人たちが街中を歩き回り、路上ファッションショーが始まる。

■展示作品ギャラリー

赤道の存在だけが頼りの手さぐり旅

世界各地を旅しながら写真を撮り続けてきた小澤太一さん。赤道直下の国々を撮影しようと決めたきっかけは、2015年に訪れたサントメ・プリンシペ民主共和国で目にした、赤道記念碑だったという。

「赤道が通る国っていくつあるんだろう。そう思って調べてみると、11か国あった。次の撮影テーマとしてちょうどいいなと感じました。赤道以外に、そこに何があるのかはわからない。〝何かを見に行く〞のではなく、〝何があるのかを知る〞ために旅をするのがいいなと思ったんです」

以来、赤道だけを頼りに3年半の間、旅は続いた。時には日本と国交のない国で強盗にパスポートを奪われたり、些細な理由から牢屋に入ることになったりと、生命の危機を感じながらも旅を続けてこられたのは、「現地の人たちが暮らす何気ない日常の中にこそ、魅力的な一瞬があることを知ってしまったから」だと、小澤さんは言う。

今回の写真展では、カラーで撮影してきた作品をあえてモノクロ化して発表する。赤道直下の国々はどこも色の印象が独特で、ひとまとめにするのが難しいことも理由の一つだが、色を失くすことによって、出会った人や起きた事柄の「記録」ではなく、その時感じた印象、思いなどを「記憶」としてまとめる意図があったという。「赤道直下の国々」に抱きがちなイメージから少しずらされた独自の目線からは、人々の幸福や生きる底力、時に孤独までもが、まばゆい光とともに感じられる。

同名の写真集を会場で販売するほか、期間中に毎日ギャラリートークをライブ配信予定。

小澤太一写真展「赤道白書」

<東京>

会期 2022年9月6日 (火) ~17日 (土)
会場 キヤノンギャラリー銀座
住所 東京都中央区銀座3-9-7
時間 10:30〜18:30
休館日 日曜・月曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリー銀座 (TEL 03-3542-1860)

<大阪>

会期 2022年11月29日 (火) ~12月10日 (土)
会場 キヤノンギャラリー大阪
住所 大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト1F
時間 10:00〜18:00
休館日 日曜・月曜・祝日
入場料 無料
問い合わせ キヤノンギャラリー大阪 (TEL 06-7739-2125)

オンライントークイベント「赤道白書 毎日配信」

東京展の会期中、日曜・月曜を除く毎日19:30より約30分、YouTubeにてライブ配信。小澤さんが1日1か国、撮影エピソードや展示作品などについて語る。9月10日 (土) はアートディレクター・三村漢さんをゲストに迎えて1時間のスペシャルトークイベントを配信予定。

※9月13日 (火) 以降の配信URLはWEBサイトにて告知
https://canon.jp/personal/experience/gallery/archive/kozawa-sekidou

 

 

小澤太一 (Taichi Kozawa)

1975年、名古屋市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家・河野英喜氏のアシスタントを経て2000年独立。ライフワークは「世界中の子どもたちの撮影」。キヤノンEOS学園東京校講師。(公社) 日本写真家協会会員。
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〈文〉高橋佐智子