コロナ禍の東京湾岸は写真家の目にどう映ったのか? 大西みつぐ写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」

大西みつぐさんの写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」が、2022年10月26日まで開催される。

大西みつぐ写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」

自分の存在を見つめる

大西みつぐさんは、自身の生まれ育った東京の下町と湾岸を長年撮影している。なかでも「NEWCOAST」は湾岸に絞って撮影したシリーズで、1980年代から続く代表作の一つ。今回発表するのは、コロナ禍以降に撮影した同シリーズ最新作だ。大西さんは次のように語る。

「2015年からの数年は人口渚を訪れる外国人に声をかけ、標準レンズで至近距離から撮っていました。それがコロナ禍では近くで人を撮ることが難しくなった。渚にも公園にも人が密集することがなくなり、そこに見える風景を撮るしかない。必然的に自分の存在にこだわることになりました」

葛西臨海公園の西を望むと、都心の高層ビル群がうっすらと見える。東京の風景の中では異端であるように思える、と大西さんは言う。

「東京でありながら東京でないような。そこから見えてくるのは、環境としての役割の変化とともに自分もまた歳月を過ごしてきたこと。そしてさまざまな意味や、過去と未来をつなぐ時間軸。そのことを大事に撮影をしています」

作品は約40点で構成した。大西さんといえばスナップだが、本作は一つのネイチャーでもある。その風景の中で「私とは何なのか」を問いかけている。

大西みつぐ写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」

大西みつぐ写真展「島から NEWCOAST 2020-2022」

会期 2022年9月17日 (土) ~10月26日 (水)
会場 エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
住所 東京都千代田区丸の内3-4-1 新国際ビル1F
時間 11:00〜18:00
休館日 日曜
入場料 無料
問い合わせ エプソンスクエア丸の内 (TEL 03-6775-9481)

オンラインイベント「被写体と向き合うコツ! なつかしさの表現術」

大西さんの撮影テクニックや機材、プリント術を、チャットで質問も受け付けながら楽しく紐解く。

日時 2022年10月5日 (水) 19:00~20:00
参加費 1,000円 (税込)、エプサイトプレミアム利用者は無料
申し込み 2022年10月3日 (月) 23:59までWEBサイトより
https://www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/exhibitions/2022/0917/

 

 

大西みつぐ

大西みつぐ (Mitsugu Ohnishi)

1952年、東京深川生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。1970年代より東京下町や湾岸の人と風景、日本の懐かしい町を撮り続けている。写真集・著書に『下町純情カメラ』『遠い夏』『wonderland』『川の流れる町で』など。1985年『河口の町』で第22回太陽賞、1993年『遠い夏』ほかにより第18回木村伊兵衛写真賞、平成5年江戸川区文化奨励賞、2017年日本写真協会賞作家賞を受賞。2017年、自主映画監督作品『小名木川物語』を公開。東京造形大学、武蔵野美術大学、関東学院大学、大阪芸術大学などで非常勤講師・客員教授を歴任。現在、日本写真家協会会員、日本写真協会会員、ニッコールクラブアドバイザー、全日本写真連盟関東本部委員。
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〈文〉鬼沢幸江