藤原新也さんのデビュー作から最新作までを一堂に展示する大規模個展「祈り・藤原新也」が、世田谷美術館で開催される。
1970年代の初めにインドを旅し、強烈な異文化の中でもたらされた新たな視座を提示した『インド放浪』は、多くの若者の心を捉えた。その後、半世紀にわたり、見えにくい時代のカタチを写真と文章、絵画などで表してきた。
1983年に出版された『東京漂流』は、当時起きた事件から時代の病巣、裏側を語り、社会に衝撃を与えた。また、同年に発表された『メメント・モリ』は、死を通して生を語った一冊であり、本展にもその思想が貫かれている。
タイトルの「祈り」は、藤原さんの表現の根幹にある人への思いだという。本展はこれまで制作してきた作品を通し、藤原さん自身がこのテーマで物語を編んだ。会場には200点を超す写真と言葉が並ぶ。
全文書き下ろしの展覧会公式書籍 (A5判304ページ / 税込 2970円) も発売。また、会期中の12月10日には特別講演会を開く。
祈り・藤原新也
会期 2022年11月26日 (土) 〜2023年1月29日 (日)
会場 世田谷美術館 1階展示室
住所 東京都世田谷区砧公園1-2
時間 10:00~18:00 (入場は17:30まで)
休館日 月曜 (祝日の場合は翌平日)、12月29日 (木) ~1月3日 (火)
入場料 一般 1200円、65歳以上 1000円、高大生 800円、小中生 500円
問い合わせ 世田谷美術館 (TEL 03-3415-6011)
藤原新也特別講演会
日時 2022年12月10日 (土) 14:00~15:30
会場 世田谷美術館講堂
座席数 80席 (全自由席)
参加費 無料
申し込み
2022年11月26日 (土) 正午よりWEBサイトにて。電話でも若干数の予約を受け付ける。
https://www.setagayaartmuseum.or.jp/event/detail.php?id=ev01009
藤原新也 (Shinya Fujiwara)
1944年、福岡県門司市 (現・北九州市) 生まれ。東京藝術大学絵画科油画専攻に入学後、アジア各地を旅し1972年に処女作『インド放浪』を発表。第3回木村伊兵衛写真賞、第23回毎日芸術賞を受賞。著書に『全東洋街道』『東京漂流』『メメント・モリ』『アメリカ』『渋谷』『コスモスの影にはいつも誰かが隠れている』『日々の一滴』など。写真集に『少年の港』『千年少女』『花音女』『神の島 沖ノ島』(共著) などがある。
→ WEBサイト
〈文〉市井康延