名取洋之助写真賞 奨励賞を受賞した鄒楠「燕郊物語−中国の白血病村」を紹介する写真展開催

2022年 第17回「名取洋之助写真賞」奨励賞を受賞した鄒楠さんの作品「燕郊物語−中国の白血病村」を紹介する写真展が、2023年1月20日より開催される。

2022年第17回名取洋之助写真賞奨励賞:鄒楠「燕郊物語−中国の白血病村」
「燕郊物語−中国の白血病村」より © 鄒 楠

第17回「名取洋之助写真賞」は該当者なし

2022年 第17回「名取洋之助写真賞」は該当者なしとなった。奨励賞には鄒楠 (すう なん)さんの「燕郊物語−中国の白血病村」(モノクロ30枚) が選ばれた。

今回の応募数は9名からの10作品にとどまった。「コロナ禍が3年目に入り、取材対象となる人々と深く交流を重ね、30点を撮り下ろすことに相当な困難があったと推察する」と、選考した野町和嘉さんは指摘する。

奨励賞の鄒さんは1989年、中国生まれ。現在、九州産業大学大学院芸術研究科に在学中だ。幼馴染の友人が白血病で亡くなったことから、中国の郊外の町、燕郊にある血液病専門病院で闘病する患者たちを取材した。

中国の平均年収は3万5000元 (約70万円) ほどだが、白血病の治療費は100万元以上に上る。燕郊から近い北京にも白血病治療で有名な病院はあるが、医療費や滞在費が高くなるので、多くの家族は燕郊にある病院を選ぶ。

取材の時期はちょうどコロナ禍と重なり、さまざまな困難があったという。「取材を受けていただいた方々に感謝するとともに、患者たちの現状に社会から目が届くことを願っています」と鄒楠さんは語っている。「労作だが、さらに深みのある作品にできるとの想いから、継続取材への励ましを込めた奨励賞とした」と野町さんはエールを送った。

名取洋之助が長年にわたり撮影した作品の中から、選りすぐりの20点を展示する「報道写真家・名取洋之助」展も同時開催。

2022年 第17回「名取洋之助写真賞」受賞作品写真展
同時開催 :「報道写真家・名取洋之助」展

<東京>

会期 2023年1月20日 (金) ~26日 (木)
会場 富士フイルムフォトサロン東京 スペース1
住所 東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウェスト1F フジフイルム スクエア内
時間 10:00〜19:00 (最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ フジフイルム スクエア (TEL 03-6271-3350)

<大阪>

会期 2023年2月17日 (金) ~23日 (木・祝)
会場 富士フイルムフォトサロン大阪
住所 大阪市中央区本町2-5-7 メットライフ本町スクエア1F
時間 10:00〜19:00 (最終日は14:00まで、入館は終了10分前まで)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ 富士フイルムフォトサロン大阪 (TEL 06-6205-8000)

 

 

鄒楠

鄒 楠

1989年、中国江蘇省生まれ。2018年、九州産業大学芸術学部写真映像学科卒業。2020年、九州産業大学大学院 芸術研究科造形表現専攻 博士前期課程 修了。2020年より九州産業大学大学院 芸術研究科造形表現専攻 博士後期課程 在学中。

 

〈文〉市井康延