貴重なカメラの展示と潮田登久子写真展を同時開催「あざみ野フォト・アニュアル2023」

横浜市民ギャラリーあざみ野は「あざみ野フォト・アニュアル2023」の企画として、潮田登久子さんの写真展「永遠のレッスン」と横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展「写真をめぐる距離」を開く。

あざみ野フォト・アニュアル2023:潮田登久子写真展「永遠のレッスン」
「冷蔵庫/ICE BOX」より © Tokuko Ushioda, Courtesy PGI

潮田登久子写真展「永遠のレッスン」

あざみ野フォト・アニュアル2023:潮田登久子写真展「永遠のレッスン」

潮田さんは静物を中心に端正なモノクロ写真を撮影してきた。本展では一般家庭の冷蔵庫をモチーフにした「冷蔵庫/ICE BOX」と、土門拳賞などを受賞した「本の景色/BIBLIOTHECA シリーズ」三部作など約130点を展示する。

特に注目されるのは1970年から75年にかけ、街で出会った人に声を掛けて撮った「街へ」だ。会場では11点のビンテージプリントを公開。当初「微笑みの手錠」と題して発表したが、今回改題した。

そうした経緯をはじめ、自作を語る作家インタビューが36ページのパンフレットにまとめられ、会期中に先着無料配布される。配布終了後は同館WEBサイトにて動画とPDFで見ることができる。

横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展「写真をめぐる距離」

あざみ野フォト・アニュアル2023:横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展「写真をめぐる距離」

コレクション展では「距離」をキーワードに、写真技術の発展と写真表現の関係を探る。写真の黎明期は肖像が多く撮影されたが、プリントが複製 (焼き増し) できるようになると、用途や被写体が変わっていく。

熱帯仕様のトロピカルカメラ「アダムス・トロピカル・ミネックス」(アダムス&カンパニー 1909年) や、第一次世界大戦をステレオカメラで撮影した写真のポストカード (キーストーン・ヴュー社 1917年ごろ) などが展示される。

そして新たなレンズの開発で撮影できるものが広がり、被写体までの距離感も変わった。3本のレンズが本体についた一眼レフ「レフタフレックス・ローター」(1952年ごろ) や山岳調査用カメラなども紹介する。

あざみ野フォト・アニュアル2023

潮田登久子写真展「永遠のレッスン」
横浜市所蔵カメラ・写真コレクション展「写真をめぐる距離」

会期 2023年1月28日 (土) ~2月26日 (日)
会場 横浜市民ギャラリーあざみ野
住所 神奈川県横浜市青葉区あざみ野南1-17-3
時間 10:00~18:00
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ 横浜市民ギャラリーあざみ野 (TEL 045-910-5656)

関連イベント

潮田登久子×光田ゆり対談

日時 2023年2月26日 (日) 14:00〜15:30
会場 横浜市民ギャラリーあざみ野 3階アトリエ
出演 潮田登久子、光田ゆり (美術評論家)
定員 50名 (先着順)
参加費 500円
申し込み 2月25日までにWEBサイトより
https://artazamino.jp/event/azamino-photo-2023

ワークショップ「あなたのカメラのレンズ活用術」

日時 2023年2月18日 (土) 13:30~15:30
会場 横浜市民ギャラリーあざみ野 3階アトリエ
講師 牧野智晃 (写真家)
定員 中学生以上のデジタルカメラ所有者16名 (先着順)
参加費 500円
申し込み 2月18日までにWEBサイトより
https://artazamino.jp/event/azamino-photo-2023-collection

あざみ野カレッジ「ステレオ写真探訪」

日時 2023年2月11日 (土・祝) 14:00~16:00
会場 横浜市民ギャラリーあざみ野 3階アトリエ
講師 日比谷安希子 (担当学芸員)
定員 30名程度 (先着順)
参加費 無料
申し込み 2月10日までにWEBサイトより
https://artazamino.jp/event/azamino-photo-2023-collection

ギャラリー・トーク

期日 2023年2月23日 (木・祝)
時間 写真展 14:00〜14:30、コレクション展 15:00~15:45
会場 各展の展示室にて
出演 担当学芸員
参加費 無料
申し込み 不要

 

 

潮田登久子 (Tokuko Ushioda)

1940年、東京生まれ。1963年、桑沢デザイン研究所リビングデザイン研究科写真専攻卒業。同研究所で写真家・大辻清司氏の指導を受け、写真家の道に進む。1966年から1978年まで桑沢デザイン研究所および東京造形大学で写真の講師を務める。1975年頃よりフリーランスの写真家として活動を始める。代表作に、さまざまな家庭の冷蔵庫を撮影した『冷蔵庫/ICE BOX』、書架に在る書籍を主題とした『本の景色/BIBLIOTHECA』などがある。2018年に土門拳賞、日本写真協会作家賞、東川賞国内作家賞、2019年に桑沢特別賞受賞。2022年、写真集『マイハズバンド』がParis Photo–Aperture PhotoBook Awards 審査員特別賞受賞。
→ WEBサイト

 

〈文〉市井康延