ニコンサロン年度賞「第47回伊奈信男賞」「第24回三木淳賞」の受賞作品展開催

2022年度のニコンサロン年度賞受賞作品展が、2023年3月28日より開催される。

宮田恵理子写真展「disguise」
宮田恵理子写真展「disguise」より

 

ニコンサロンで開いた写真展で最も優れたものを選ぶ年度賞、第47回「伊奈信男賞」は宮田恵理子さんの写真展「disguise」に決まった。新進作家の展示に贈る第24回「三木淳賞」は、宛超凡 (エン チョウハン) さんの写真展「河はすべて知っている──荒川」が選ばれた。

「disguise」はスイスの山に残された軍事施設を撮影したもの。単なる記録写真ではなく、「作者の戸惑いと思考プロセス」がそこから読み取れると、審査員の小高美穂さんは指摘する。スイスは永世中立国でありながら、軍需物資を海外へ供給する国でもある。「人間の作り出した構造の脆弱性について思考し、対象との距離を的確に選び取ることによって、写真に不思議な臨場感を作り出した」と評価する。

 

宛超凡写真展「河はすべて知っている──荒川」
宛超凡写真展「河はすべて知っている──荒川」より

宛さんの展示は荒川流域を撮影したもの。川は生命を育み、そこに生きる人々は川に手を加えて利用してきた。流域の風景からは人々の歴史と営みが透けて見えてくる。

6×18cm判のパノラマカメラを使うことで、源流から河口へ向かう視覚的体験が「客観的かつ細やかに提示された」と審査員の飯沢耕太郎さんは指摘する。宛さんは今後、中国・黄浦江を撮影予定だ。

ニコンサロン年度賞受賞作品展

■第47回 (2022年度) 伊奈信男賞 : 宮田恵理子写真展「disguise」

会期 2023年3月28日 (火) ~4月10日 (月)

■第24回 (2022年度) 三木淳賞 : 宛超凡写真展「河はすべて知っている──荒川」

会期 2023年4月11日 (火) ~24日 (月)

■両写真展共通

会場 ニコンサロン
住所 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28F ニコンプラザ東京内
時間 10:30~18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
入場料 無料
問い合わせ ニコンサロン (TEL 0570-02-8080)

 

 

宮田恵理子 (Eriko Miyata)

1993年生まれ。東京芸術大学美術学部先端芸術表現学科卒業後、Zurich University of the ArtsにおいてMaster Fine Artを修了。第46回江副記念リクルート財団奨学金生。チューリッヒに留学中、デリーのShiv Nadar UniversityとCity University of Hong Kongにおいて行われた研修に参加。2023年「Japan Photo Award Vol.10」Antonio Scoccimarro (Mousse Magazine 編集長) 賞を受賞、2022年「PITCH GRANT」グランプリ受賞、IMA next「OTHER HISTORIES」グランプリ受賞。
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宛 超凡 (Wan Chaofan)

1991年、中国河北省固安県生まれ。2013年、西南大学卒業。2017年、明治大学政治経済学研究科修士課程修了。2021年、東京藝術大学美術研究科博士課程修了。STAIRS PRESS共同創設者、TOTEM POLE PHOTO GALLERYメンバー。2016年 第5回キヤノンフォトグラファーズセッション・キヤノン賞を受賞、2016年 第4回KAWABA NEW-NATURE PHOTO AWARD・川場村賞を受賞、2021年 第44回写真新世紀・優秀賞を受賞。
→ WEBサイト

 

〈文〉市井康延