時代を記録した写真家の軌跡を辿る 逝去後初の大回顧展「田沼武能 人間讃歌」

田沼武能さんの逝去後、初となる大回顧展「田沼武能 人間讃歌」が、東京都写真美術館で開かれる。

田沼武能 人間讃歌
《家族全員でトラクターに乗って、チリ、サンチャゴ郊外》
1976年 田沼武能写真事務所蔵

 

田沼さんは戦後の復興期から70年以上、国内外で時代を記録してきた。1966年からは米タイム・ライフ社の契約カメラマンとして活動し、1984年からは黒柳徹子ユニセフ親善大使の各国訪問に同行取材を続けた。

本展では戦後の子どもたち、世界で出会った人々の姿と、「武蔵野の自然」の3部構成で205点を展示。下町浅草に生まれ育った田沼さんにとって、武蔵野は懐かしい風景が残された場所で、強く魅了されていた。

田沼武能 人間讃歌

会期 2023年6月2日 (金) ~7月30日 (日)
会場 東京都写真美術館 B1F展示室
住所 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間 10:00〜18:00 (木・金曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜 (7月17日は開館、7月18日休館)
入場料 一般 700円、学生 560円、中高生・65歳以上 350円
※小学生以下、都内在住・在学の中学生無料
オンライン予約
http://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4532.html

 

 

田沼武能さん
撮影 : 高原マサキ

田沼武能 (Takeyoshi Tanuma)

1929年、東京・浅草生まれ。1949年にサン・ニュース・フォトスに入社後、木村伊兵衛氏に師事。ライフワークとして世界の子どもたち、人間のドラマ、武蔵野や文士・芸術家の肖像を撮り続けた。1995年から2015年まで日本写真家協会 (JPS) 会長を務めたほか、日本写真著作権協会会長、日本写真保存センター代表、東京工芸大学芸術学部写真学科名誉教授なども歴任。2019年には写真家として初めて文化勲章を受章した。2022年6月1日没。享年93歳。

 

〈文〉市井康延