自作カメラで撮影した作品が想像力をかき立てる 白井晴幸写真展「景色の光線|新しい影」

白井晴幸さんの写真展「景色の光線|新しい影」が、2023年8月5日より開催されます。

白井晴幸写真展「景色の光線|新しい影」

■展示作品ギャラリー (タップ/クリックで拡大します)

 

2022年から取り組んでいる自作の改造フィルムカメラを用いたシリーズ「景色の光線」と、そこから派生した立体作品「新しい影」の新作で構成する写真展。

白井さんは、スポーツのゴール判定に使われる技術を備えた自作のスリットカメラを用いて、日常の風景を撮影してきました。既存の4×5インチ判フィルムカメラにスリットユニットを取り付けたもので、電動スライダーを使用して撮影することで、スリットを通した光が線状に現れます。

本来は条件の整った環境で使用するスリットカメラですが、都市の中へ無作為にレンズを向けると、被写体を歪ませ、引き伸ばし、消し去るといったノイズが生じました。「写真機に与えられた条件を異化することで生じたノイズは、日常の膨大な情報の中から掬い取る無意識と偶然から、想像することの手段を与えてくれるように思います」と白井さん。

レンズの前を通り過ぎた被写体が、異端なノイズとなる。過ぎ去っていく時間の痕跡が、作品の中に写し込まれています。

白井晴幸写真展「景色の光線|新しい影」

会期 2023年8月5日 (土) 〜15日 (火)
会場 BOOK AND SONS
住所 東京都目黒区鷹番2-13-3 キャトル鷹番
時間 12:00〜19:00
休館日 水曜
入場料 無料
問い合わせ BOOK AND SONS (TEL 03-6451-0845)

 

 

白井晴幸 (Haruyuki Shirai)

東京生まれ。多摩美術大学卒。自身の出身地である東京郊外の森に、実在した部族や寓話、写真史などをモデルにした架空の部族を出現させたシリーズや、改造したスリットカメラを用いた特異な時間の風景を現すシリーズなど、技法やシチュエーションを創造し、独自のアプローチによって写真を考察する。写真が持つ記憶の文脈を解体・再構築によって、写真の新たな風景を探求している。
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