アマチュア限定の写真賞「第29回 酒田市土門拳文化賞」受賞作品展開催

アマチュア写真愛好家を対象とした第29回「酒田市土門拳文化賞」の受賞作品展が、2023年9月16日より開催される。

第29回 酒田市土門拳文化賞受賞作品展
第29回 酒田市土門拳文化賞「被爆ヒロシマの叫び!」(カラー30枚組) より

 

第29回「酒田市土門拳文化賞」には、長年、広島を撮影してきた川眞田慶治さんの「被爆ヒロシマの叫び!」(カラー30枚組) が選ばれた。川眞田さんは徳島県吉野川市在住。11年前から欠かさず広島の平和祭に通い、今を生きる人たちの祈りと叫びを見つめてきた。自身も戦争体験者であり、広島への原爆投下は10歳のとき、徳島のラジオ放送で聞いた。

土門拳は1958年に写真集『ヒロシマ』を出版。その10年後も後遺症に苦しむ被爆者たちの姿を撮影し、世に問うている。このテーマは世代を継いで語り続けていくものであり、その意味からもこの賞に相応しい。

第29回「酒田市土門拳文化賞奨励賞」は3作品に贈られた。若松誠さんの「Esperanza (希望) – 陽はまたのぼる」(モノクロ30枚組) はキューバの人々を捉えたもの。大国との政情に翻弄される国の中にあって、逞しく日々を過ごす人々に生きる確かさを見い出した。

福岡育代さんは浅草をライフワークに撮影し、数々のコンテストで受賞歴を持つ。「母へ捧ぐ -中野・時景-」(モノクロ28枚組) は自らの母を題材にしたもので、「個人の経験から人間の普遍的な記憶へと向かう」(選考委員・大西みつぐさん) 作品の力が評された。

受賞者はベテランが多い中で、卯月梨沙さんは1988年生まれ。「幽明」(モノクロ30枚組) は自らの目に映る日常をスナップした。その目は日常の深淵を見つめ、彷徨を繰り返す。「自身と世界を結ぶ糸を手繰り寄せる閃光のようなショット」が魅力的だと大西さんは話す。

第29回 酒田市土門拳文化賞受賞作品展

会期 2023年9月16日 (土) ~10月23日 (月)
会場 土門拳記念館
住所 山形県酒田市飯森山2-13 飯森山公園内
時間 9:00〜17:00 (入館は16:30まで)
休館日 会期中無休
入場料 一般800円、高校生400円、中学生以下無料
問い合わせ 土門拳記念館 (TEL 0234-31-0028)

 

 

酒田市土門拳文化賞

山形県酒田市出身の世界的な写真家・土門拳の芸術文化への功績を記念し、写真文化・写真芸術の振興を目的として1994年6月に創設された。日本国内に居住するアマチュア写真愛好家を対象としている。
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〈文〉市井康延