従軍カメラマンが捉えた特殊部隊の最後の日々「ある従軍カメラマンの追憶 義烈空挺隊員と家族の片影」展

東京・新宿の平和祈念展示資料館は、企画展「ある従軍カメラマンの追憶 義烈空挺隊員と家族の片影」を開催中だ。会期は2024年1月14日まで。

ある従軍カメラマンの追憶 義烈空挺隊員と家族の片影
フィリピン戦線従軍時の小柳次一

 

撮影したのは小柳次一。名取洋之助が率いた日本工房に入社し、日中戦争から第二次世界大戦の敗戦まで、従軍カメラマンとして活動した。

1945年には特攻隊と、この義烈空挺隊を撮影している。同隊は特殊部隊で、アメリカ軍の飛行場に強行着陸し、敵機などを破壊する目的で編成された。サイパン島、硫黄島への攻撃計画は戦況悪化で中止になり、沖縄本島へ上陸した米軍飛行場が最後の攻撃目標になった。

小柳は隊員の宿舎に寝泊まりし、死地へ向かうまでの彼らの姿を写真に収めた。168名が搭乗した12機のうち、7機は撃墜され、1機のみが飛行場を攻撃した。

敗戦から20年を経てから、小柳は手元にあった写真を整理し、戦争写真展「軍靴の音」を全国各地で開いた。会場には兵士の遺族や、生き残った元隊員も訪れ、その後も交流が続いた。

本展では小柳の軌跡を振り返るとともに、兵士たちの最後の日々を通し、戦争の愚かさや悲しみを問いかける。会期中、特攻訓練に従事した元兵士が戦争体験を語る定期語り部お話会などを開く。

企画展「ある従軍カメラマンの追憶 義烈空挺隊員と家族の片影」

会期 2023年10月3日 (火) ~2024年1月14日 (日)
会場 平和祈念展示資料館 企画展示コーナー
住所 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル33階
時間 9:30~17:30 (入館は17:00まで)
休館日 月曜 (祝日の場合は開館し翌日休館)・12月28日~1月4日
入場料 無料
問い合わせ 平和祈念展示資料館 (TEL 03-5323-8709)

ギャラリートーク

学芸員による展示解説。

開催日 11月19日 (日)・12月17日(日)
時間 各日13:00~ (約30分)

定期語り部お話し会

特攻訓練に従事した元兵士が自身の戦争体験を語る。各日とも14:00~ (約60分)。

11月19日 (日) 呉正男さん 96歳
12月17日 (日) 上野辰熊さん 95歳

 

 

小柳次一 (Tsuguichi Koyanagi)

昭和13年から終戦までの長期にわたり、主に陸軍嘱託の従軍カメラマンとして、中国各地やフィリピン、九州の陸軍飛行場などで記録撮影を行なった。

 

〈文〉市井康延