写真・映像表現にラディカルな問いを投げかける写真家の今に迫る「即興 ホンマタカシ」

東京都写真美術館で「即興 ホンマタカシ」が開催中だ。2024年1月21日まで。

即興 ホンマタカシ
《New York》、〈THE NARCISSISTIC CITY〉より 2013年

 

ホンマさんは1998年に出版した写真集『東京郊外』で注目を集めた。都市の外側に広がる住宅街とそこに住む人々を捉えたものだが、それまでにない没個性的な風景、意味合いをはく奪したかのような表現がインパクトを与えた。

その後、写真表現の可能性を探るかのように制作に取り組む。2011年から2012年に開いた大規模個展「ニュー・ドキュメンタリー」ではキャリアの初期からの活動をたどり、国内3か所の美術館を巡回展示した。本展はそれ以来、国内の美術館では約10年ぶりの個展だ。

ここでは2016年に刊行した写真集『THE NARCISSISTIC CITY』のシリーズを中心に構成。撮影に普通のカメラは使わず、部屋をピンホールカメラに仕立てた。窓に開けた小さな穴から外からの光を取り込み、フィルムに焼き付ける。

その撮影では作者の意図しないものが写ることもあり、その「即興」性にホンマさんは強く引かれた。それはこの10年の活動におけるキーワードであり、本展では写真・映像表現にラディカルな問いを投げかけるホンマさんの今に迫る。

会期中は、初公開となる新作をはじめとする映像作品を1階ホールで特別上映するほか、ホンマさんとゲストによるトークショーも予定。

即興 ホンマタカシ
《mount FUJI 9/36》、〈Thirty-Six Views of Mount Fuji〉より 2016年

即興 ホンマタカシ

会期 2023年10月6日 (金) ~2024年1月21日 (日)
会場 東京都写真美術館 2F展示室
住所 東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
時間 10:00〜18:00 (木・金曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜 (祝日の場合は開館し、翌平日休館)、12月29日〜1月1日
入場料 一般 700円、学生 560円、中高生・65歳以上 350円
※小学生以下、都内在住・在学の中学生無料。毎月第3水曜は65歳以上無料。1月2日・3日・21日は無料。
オンライン予約
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4540.html

出品作家とゲストによる対談

日時 2023年12月17日 (日) 15:00~16:30
会場 東京都写真美術館 1Fホール
出演 ホンマタカシ、保坂健二朗 (滋賀県立美術館ディレクター)
参加費 無料
定員 190名 (自由席)
備考 新作映像作品「2019年の磯崎新」(2023年 40分) も上映
参加方法 当日10:00より1F総合受付にて整理券を配布

ホンマタカシ映像作品特集上映

■2023年11月18日 (土)・19日 (日)
「After 10 Years」(2016年 101分)
「アヤクーチョの唱と秩父の山」(2019年 58分)

■2023年12月16日 (土)
「きわめてよいふうけい」(2004年 40分)
「あなたは、あたしといて幸せですか?」(2016年 70分

■2023年12月17日 (日)
「建築と時間と妹島和世」(2020年 60分)

■2024年1月6日 (土)・7日 (日)
「最初にカケスがやってくる」(2016年 225分)

会場 東京都写真美術館 1Fホール
参加費 無料
定員 190名 (自由席 / 途中入場可)
タイムテーブル WEBサイト参照
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4540.html

 

 

ホンマタカシ (Takashi Homma)

1999年、写真集『東京郊外 TOKYO SUBURBIA』(光琳社出版) で第24回木村伊兵衛写真賞受賞。2010年4月、東京造形大学大学院の客員教授に着任。2011年から2012年にかけて、個展「ニュー・ドキュメンタリー」を日本国内三か所の美術館で開催。著書に『たのしい写真 よい子のための写真教室』、近年の作品集に『THE NARCISSISTIC CITY』(MACK)、『TRAILS』(MACK) がある。また、2019年に『Symphony その森の子供 mushrooms from the forest』(Case Publishing)、『LookingThrough Le Corbusier Windows』(Walther König, CCA, 窓研究所) を刊行。

 

〈文〉市井康延