駐日ギリシャ大使夫人でもあるマルガリタ・マヴロミハリスさんの写真展「INTERNAL SPACE インナースペース (内なる空間)」が、2023年11月11日まで開催される。
■コロナ禍の中で撮影したセルフポートレート作品を東京で初展示
代々、外交官を務める家系に生まれたマルガリタ・マヴロミハリスさんは、若い頃から世界を旅して、その国の鼓動を感じるようなポートレートやストリートスナップを撮影してきた。2011年から4年間、ニューヨークの国際写真センター (ICP) で写真を学び、2021年「パリ写真賞」年間国際コンクール銀賞や、2023年「日本−在日外交官の視線写真展」年間大賞・日本部門賞を受賞するなど、多くの賞を受賞している実力派でもある。作品は、ニューヨーク市立博物館とブルックリン歴史協会のパーマネントコレクションに収蔵されている。
今回展示されている18点は、2019〜2023年にかけて制作されたセルフポートレートのプロジェクト作品。自宅を舞台に、その中に自身を慎重に配置して彼女自身の「内なる」現実を表現することを試みたものだ。撮影にはニコンの一眼レフカメラと24mmレンズを使っている。
室内で撮られた作品は外界からの孤立、日常生活の逆転といった新型コロナウイルスによるパンデミックがもたらした心理的な閉塞感とともに、コミュニケーションの欠落、さらに自己との対峙から生み出された深い内向性といったものが表現されている。
家の中という限られた空間の中で壁に囲まれて撮影された作品は、会場の限られた空間の中で、その意味をより深く理解することができるのだという。地下にある石室を思わせる不思議な空間で見る作品は、彼女の内面を覗くのと同時に、自分の内面も覗くような感覚に囚われてくるようにも思える。鑑賞しているうちに時間を忘れてしまう、そんな空間と作品だった。
マルガリタ・マヴロミハリス写真展「INTERNAL SPACE インナースペース (内なる空間)」
会期 2023年11月1日 (水) ~11日 (土)
会場 太郎平書画院 展示室
住所 東京都中央区日本橋本町1-7-12
時間 15:00〜19:00
休館日 日曜・月曜・火曜
入場料 無料
マルガリタ・マヴロミハリス (Margarita Mavromichalis)
1965年、ギリシャ・アテネ生まれ。代々、外交官を務める家系に生まれる。若い頃から世界を旅し、人間こそがその国の「鼓動」であると感じ、世界中の人々のポートレートやストリート写真に情熱を注いでいる。現在は夫が駐日ギリシャ大使を務める東京を拠点に活動中。
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〈文〉柴田 誠