アイデムフォトギャラリー「シリウス」は、年頭企画展として長倉洋海写真展「地球に謳う」を開く。
「人間が作り出した現代社会は今、いろいろ不都合なことが起きています」と長倉さん。国と国の争いや、地球環境を壊してきたことで、生態系には異変が生じている。豊かさを追求してきたことで、人は本当に幸せを得られているのか。本展では厳しい環境の中で、必要最低限のモノだけを使い、楽しく暮らす人たちを紹介する。
極寒の地での暮らしに興味を持ち、長倉さんは2018年の冬と翌年の夏、シベリアの遊牧民ネネツを訪ねた。「トナカイを飼い、その肉を食べ、皮は服やテントにする。トナカイとともに生きる民です」。
2023年にはマダガスカルへ旅した。「ここの音楽が面白くてね。子どもとミュージシャンが演奏する動画を見て、撮りたいと思ったんだ」。アポなしだったため、その撮影はかなわなかったが、漁民の家族を撮ることができた。
人間が自然を破壊することで、誰よりも困るのは私たち人間自身だ。「地球とともに生きる先住民たちの暮らしは、豊かで楽しく美しい。未来を考えたとき、そこから僕らは学ぶべきものがあると思う」。
なお、長倉さんのフォトエッセイ『地球に謳う』(日本写真企画刊) も発売されているほか、長倉さんの軌跡を描いた映画「鉛筆と銃-長倉洋海の眸」が全国で公開中だ。
長倉洋海写真展「地球に謳う」
会期 2024年1月5日 (金) 〜 17日 (水)
会場 アイデムフォトギャラリー「シリウス」
住所 東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2F
時間 10:00〜18:00 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
入場料 無料
問い合わせ アイデムフォトギャラリー「シリウス」(TEL 03-3350-1211)
長倉洋海 (Hiromi Nagakura)
1952年、釧路市生まれ。同志社大学卒業。1980年から世界の紛争地を取材。その後、アマゾンやシベリアなど辺境の地を多く訪れる。土門拳賞、講談社出版文化賞などを受賞。2015年より実家を使って、世界で出会った人と受講生をつなぐ場として「長倉商店塾」を開講している。2023年9月に東京都写真美術館で公開された映画「鉛筆と銃-長倉洋海の眸」が全国を巡回している。
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〈文〉市井康延