東京国立近代美術館は展覧会「中平卓馬 火―氾濫」を2024年2月6日から4月7日に開く。没後、初めてとなる本格的な回顧展だ。
中平が残した写真と問いかけは、今もさまざまな解釈をもたらし続けている。本展では彼の軌跡を丁寧にたどり、その展開を再検証する。特に、自らの写真を模索して病で中断した時期に注目しつつ、再起後の写真の位置づけも改めて見直す。
会場には初期から晩年までの649点に上る写真、資料が並ぶ。近年その存在が確認された《街路あるいはテロルの痕跡》の1977年のヴィンテージ・プリントなど未公開作が多数含まれるほか、キャリア転換期における重要作《氾濫》などカラー写真の大作も公開される。《氾濫》は1974年、同館で開かれた「15人の写真家」展で展示されたもの。半世紀を経て、同じ会場でお目見えすることになる。
また1960年代から70年代前半に発表していた『アサヒグラフ』や『朝日ジャーナル』などの誌面も多数展示。写真がどのように流通するか、意識的に活動していた中平が何を試みようとしていたか、その実態を紹介する。
中平卓馬 火―氾濫
会期 2024年2月6日 (火) ~4月7日 (日)
会場 東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
住所 東京都千代田区北の丸公園3-1
時間 10:00〜17:00 (金曜・土曜は20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日 月曜 (2月12日・3月25日は開館)、2月13日 (火)
入場料 一般 1,500円、大学生 1,000円
〈文〉市井康延