第32回林忠彦賞 受賞記念写真展が、2024年4月20日より開催される。
第32回「林忠彦賞」は奥山淳志さんの写真集『BENZO ESQUISSES 1920-2012』に決まった。本賞の候補は自薦と、写真関係者約250名の推薦で選ばれる。2023年の1年間に発表された写真集、写真展、雑誌などが対象だ。最終選考は金川晋吾さん『長い間』、三島正さん『Flat』、梁丞佑さん『荷物』など計11名で争われた。
奥山さんは25歳のときに雑誌の企画で、北海道にある丸太小屋で暮らす井上弁造さんと出会った。その生き方に引かれ、彼が亡くなる2012年まで10数年にわたり、その姿を撮り続けた。
彼をテーマにした写真集はこれが3作目。本書では井上さんが描き続けたエスキース (習作) を中心に構成した。「絵のなかの女性たちは、すでにこの世にいないひとりの人間の存在の物語を語って聞かせてくる」と奥山さんは話す。
住まいの周囲に生えた植物やその影を写し込むことで、複写した絵に作者の存在が重なり、深い余韻が生まれる。「全ページにわたって詩情豊かな雰囲気があり、かつ、シャープな表現力」と選考委員長の大石芳野さんは評価する。
第32回林忠彦賞 受賞記念写真展 : 奥山淳志「BENZO ESQUISSES 1920-2012」
会期 2024年4月20日 (土) ~29日 (月・祝)
会場 周南市美術博物館
住所 山口県周南市花畠町10-16
時間 9:30~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 4月22日
入場料 無料
問い合わせ 周南市美術博物館 (TEL 0834-22-8880)
第32回林忠彦賞 授賞式
日時 2024年4月20日 (土) 14:00~16:00
会場 遠石会館 (山口県周南市遠石2-3-1)
内容 第1部 授賞式、第2部 大石芳野 (選考委員長) 講演会
参加費 無料
申し込み 周南市美術博物館へ電話で
奥山淳志トークショー
日時 2024年4月21日 (日) 10:30〜
会場 周南市美術博物館 講座室
話し手 奥山淳志
聞き手 有田順一 (周南市美術博物館館長、林忠彦賞選考委員)
参加費 無料
定員 40名 (先着順)
申し込み 周南市美術博物館へ電話で
巡回展
2025年1月17日 (金) 〜30日 (木) 東川町文化ギャラリー
奥山淳志 (Atsushi Okuyama)
1972年、大阪生まれ。京都外国語大学卒業。1995〜1998年、東京で出版社に勤務した後、1998年、岩手県雫石に移住し、写真家として活動を開始。以後、雑誌媒体を中心に北東北の風土や文化を発表するほか、近年は、フォトドキュメンタリー作品の制作を積極的に行っている。主な受賞歴に、2015年 第40回伊奈信男賞、2018年 日本写真協会新人賞、2019年 第35回写真の町 東川賞 特別作家賞。
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〈文〉市井康延