第49回 伊奈信男賞の受賞作品展が2025年3月25日より、第26回 三木淳賞の受賞作品展が2025年4月8日より開催されます。

ニコンサロンの年度賞として、1年間に同会場で開催した写真展の中から最も優れた作品に授与される伊奈信男賞と、新進作家による最も優れた作品に授与される三木淳賞。2024年に開催された写真展から、第49回 伊奈信男賞は紀成道さんの「風と土と x elements/Earth」、第26回 三木淳賞は齋藤利奈さんの「The Circle of Life ~海に息づく命の環~」に決定しました。
第49回 (2024年度) 伊奈信男賞 : 紀成道写真展「風と土と x elements/Earth」
「風と土と x elements/Earth」は、古来の製鉄技術 “たたら” の文化が残る島根の山あいにある集落を取材した作品。選考委員の畠山直哉さんは「都会と地方という二項対立的な論点について、良い意味での “都会的な” 視線や距離感を持って “地方” に入り込み、しかし決して “地方” を食い物にすることなく、そこにある善きものを、率直に私たちに届けようとしている」「“ふるさと” として地方を表象しようとする旧来の映像が持つ、あのノスタルジアや感傷のようなものが感じられず、鮮やかな色彩や縦位置のフレーミングの中で、人々や風景はつねに堂々として見える」と評しています。
第26回 (2024年度) 三木淳賞 : 齋藤利奈写真展「The Circle of Life ~海に息づく命の環~」
「The Circle of Life ~海に息づく命の環~」は、海中の生きものたちが営む命の輝きを捉えた作品。選考委員の高砂淳二さんは「暗く、透明度があまり良くない海も多い中で齋藤氏は、複数のストロボなどを駆使してその被写体の存在感を引き立て、被写体の表情や行動がより伝わる作品作りに挑戦している。その撮影法は陰影の効いたドラマチックな作品群として結実し、生物たちに寄り添ったキャプションとともにより多くの人の関心を海に惹きつけたことだろう」と評しています。

第49回 (2024年度) 伊奈信男賞
紀成道写真展「風と土と x elements/Earth」
会期 2025年3月25日 (火) ~4月7日 (月)
会場 ニコンサロン
住所 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28F ニコンプラザ東京内
時間 10:30~18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
入場料 無料
問い合わせ ニコンサロン (TEL 0570-02-8080)
第26回 (2024年度) 三木淳賞
齋藤利奈写真展「The Circle of Life ~海に息づく命の環~」
会期 2025年4月8日 (火) ~21日 (月)
会場 ニコンサロン
住所 東京都新宿区西新宿1-6-1 新宿エルタワー28F ニコンプラザ東京内
時間 10:30~18:30 (最終日は15:00まで)
休館日 日曜
入場料 無料
問い合わせ ニコンサロン (TEL 0570-02-8080)
トークイベント
日時 2025年4月12日 (土) 15:00~16:00
会場 ニコンサロン
登壇者 齋藤利奈
定員 20名 (当日先着順)
参加費 無料
紀 成道 (きの せいどう)
1978年、愛知県生まれ。京都大学工学部物理工学科卒。人、もの、場所、時間、思考の「接点」でものごとは起こり、異質間の相互作用こそ我々に気づきを与えることをテーマに制作を行っている。島国である日本が直面する課題に人々がどう取り組むかに焦点を当て、何が日本を日本たらしめているかを探る。展示や写真集ならではの表現で発表を続ける。森にある精神科病院を舞台に、自然を介した患者と健常者との関わりを「Touch the forest, touched by the forest.」(2017年)、製鉄の現場から高度経済成長期と現在の世代のつながりを「MOTHER」、「Hands to a Mass」(2019年) としてまとめた。本作をまとめた写真集『かぜとつちと x elements』(赤々舎) を2024年に上梓。
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齋藤利奈 (さいとう りな)
1984年、大阪府生まれ。同志社大学文学部美学芸術学専攻卒業後、京都市立芸術大学大学院音楽研究科音楽学専攻修了。2012年、沖縄県でダイビングのライセンスを取得。最初は海で見た生きものを記録するために、コンパクトデジタルカメラで写真を撮り始める。2019年、レンズ交換式カメラでの水中写真撮影をスタート。海外や沖縄を中心に潜っていたが、コロナ禍をきっかけに日本、とりわけ西日本の海の魅力を知る。海に暮らす生きものたちが懸命に命を繋ぐ姿に心を動かされ、求愛、産卵、新しい命の誕生といった生態行動の撮影を開始。自然界において「死」は終わりではなく、他の生きものの糧・海の養分となり、環になって繋がっていく。そんな、ありのままの自然の姿を撮りたいと思い、現在は「海に暮らす生きものたちの命の環」や「海洋環境」をテーマに撮影を行なっている。
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