戦場に散った報道写真家2人のまなざしを貴重な資料と作品でたどる特別展「沢田教一と一ノ瀬泰造」

日本カメラ博物館で、特別展「沢田教一と一ノ瀬泰造」が2025年9月30日より開催されます。

沢田教一と一ノ瀬泰造
沢田教一が使用した「ライカM2」(左)、被弾した一ノ瀬泰造の「ニコンF」(右)

 

紛争地帯の最前線に身を置き、激戦の様子を記録し続けた沢田教一と一ノ瀬泰造。ともに報道写真家として生き、戦場に殉じた2人は、戦闘だけではなくさまざまなシーンを写真に残していました。

本展では、それぞれの故郷や身近な人々を収めたスナップなど、戦地へ赴く以前に撮影された作品を中心に、カメラやヘルメットなどの貴重な資料も多数展示。戦場とは異なる視線で見つめた2人のまなざしを、写真と資料でたどります。

会期中の11月15日には、「不肖・宮嶋」として知られるフォトジャーナリストの宮嶋茂樹さんと、一ノ瀬泰造の姪で著作権管理者の永渕教子さんを講師に迎えた講演会も開催。資料をプロジェクターで投影しながら、現役の報道写真家目線で見た沢田と一ノ瀬についてや、親族だからこそ知っているエピソードなどを語ります。

なお、隣接するJCIIフォトサロンでは、9月30日~10月26日に沢田教一、10月28日~11月30日に一ノ瀬泰造の写真展を開催。代表作を含む作品を紹介します。

日本カメラ博物館 特別展「沢田教一と一ノ瀬泰造」

会期 2025年9月30日 (火) ~2026年2月1日 (日)
会場 日本カメラ博物館
住所 東京都千代田区一番町25 JCIIビル地下1階
時間 10:00〜17:00
休館日 月曜 (祝日の場合は翌日休館)、12月27日 (土) 〜1月4日 (日)
入館料 一般300円、中学生以下無料
問い合わせ 日本カメラ博物館 (TEL 03-3263-7110)

講演会「戦地に殉じた報道写真家 沢田教一と一ノ瀬泰造を語る」

日時 2025年11月15日 (土) 13:00〜15:00
会場 JCIIビル 6階会議室
住所 東京都千代田区一番町25 JCIIビル6階
講師 宮嶋茂樹 (報道写真家)、永渕教子 (一ノ瀬泰造著作権管理者)
定員 先着100名 (座席指定なし)
受講料 500円 (入館料込)
※学生・日本カメラ博物館友の会会員・フォトサロン友の会会員は無料。
申し込み 電話 (TEL 03-3263-7110) または日本カメラ博物館にて直接受付

 

沢田教一 (Kyoichi Sawada)

1936年、青森県青森市生まれ。三沢基地内の写真店に勤務し、のちに夫人となるサタと出会う。1961年にUPIの職を得て、1965年に自費でベトナム戦争を取材。7月にUPIサイゴン支局写真部に赴任し、同年9月に撮影した写真「安全への逃避」が世界に配信され、翌年ピュリツァー賞を受賞。その後もアジアの紛争地で取材を続けるが、1970年、移動中に銃撃を受け、34歳で戦場に没した。

一ノ瀬泰造 (Taizo Ichinose)

1947年、佐賀県武雄市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後に資金を貯め、1972年にカンボジア、ベトナムへと入国。このときの写真がUPI月間賞を受賞するなど各媒体に掲載された。1973年11月、友人宛の手紙に「地雷を踏んだらサヨウナラ」と記しアンコールワットへと潜入。その後消息を絶つ。このとき26歳。9年後の1982年、プラダックの草原に埋葬された一ノ瀬の遺骨が発見された。
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