下瀬信雄さんの写真展「寝我写庵 (ネガシャン) ~反転画像・inverted image~」が、2025年10月10日より開催される。
「ネガシャン」とは「ネガで見ると名作のようで、プリントするとパッとしない写真」という意味。同じような言葉で、後ろ姿が美しい人を表す「バックシャン」には聞き覚えのある人もいるだろう。
下瀬さんの実家は写真館だった。子どものころからネガフィルムに専用の鉛筆で修正を施したり、暗室でマスキングや覆い焼きを駆使して作品を作り上げる技法を見ていた。最初から「正像」が確認できるデジタル写真とは異なる、「反転画像」を扱う環境で、写真に触れてきたのだ。
下瀬さんは「写真は『真実を写す』ものではない」と言う。フォトグラフとは「光で描く絵」。だから、光を操ることによって作品は完成する、と考えている。実はこれまで発表してきた作品の中にも、画像を反転させる手法を忍ばせてきたのだそうだ。ただ、そのことに気づく人はほとんどいなかった。
今回の展示では、画像反転の手法を「忍ばせる」のではなく、思い切り駆使した。それによって下瀬さんは、「見える」とは何かを問いかけ、写真の可能性を広げることができたら、と語った。
下瀬信雄写真展「寝我写庵 (ネガシャン) ~反転画像・inverted image~」
会期 2025年10月10日 (金) ~16日 (木)
会場 富士フイルムフォトサロン 東京 スペース2
住所 東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウエスト1F フジフイルム スクエア内
時間 10:00〜19:00 (最終日は16:00まで、入館は終了10分前まで)
休館日 会期中無休
入場料 無料
問い合わせ フジフイルム スクエア (TEL 03-6271-3350)
下瀬信雄 (Nobuo Shimose)
1944年、満州国新京市生まれ。山口県萩市で写真スタジオを経営しながら、萩周辺の文化や歴史に根ざした作品を発表し、高い評価を受ける。1990年日本写真協会新人賞、2015年土門拳賞、2024年令和6年度地域文化功労者表彰。写真集に『結界』『つきをゆびさす』など。展示に合わせ『寝我写庵 NEGASYAN』を上梓。
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〈文〉高橋佐智子