機材レポート

ニコン D850 深イイ利用術【風景撮影編】今こそ知りたい使いこなしポイントを解説!

<フォーカスシフトはこう使う>
注目のフォーカスシフトは「枚数・ステップ幅」設定がカギ

F16まで絞っても、背景までパンフォーカスにならないとき、合焦部の解像感は犠牲にしてF22まで絞るか迷うことがある。またクローズアップ撮影では被写界深度が全然足らずに撮影を諦めることもよくあった。フォーカスシフト機能を使ってピント位置をずらして撮影し、Photoshopで深度合成すれば全体にピントの合ったシャープな作品を簡単に作ることができる。フォーカスシフト撮影した画像をレイヤーとして開き、自動整列、自動合成の手順で合成してゆく。三脚を使って撮影すれば画像のズレは少なく、合成は容易である。ピント位置の違いによって背景のボケ量が異なるため、画面周囲に生じるボケ部分をトリミングしてカットすれば完成だ。

 

注目機能「フォーカスシフト撮影」

「手前~遠景」のパンフォーカスだけでなく「至近~中距離」を合わせるための利用もとても効果的だ

深度合成というと「広い風景で手前から無限遠までのパンフォーカス写真」がすぐ思い浮かぶかもしれない。だが実際の自然風景写真では、被写界深度を深くしにくいマクロ撮影でより実用的に使えそうだ。ごく至近から深度に収めたい「中くらいの距離の位置まで」を段階撮影+合成することでシャープに描写できる。

ニコンD850深イイ利用術【風景撮影編】
ニコンD850深イイ利用術【風景撮影編】
深い深度で撮るのが難しいマクロの被写体。フォーカスシフト撮影で撮影して深度合成することで2つの被写体をシャープに写せた
F16まで絞ってもユワンツチトリモチにピントを合わせるとコケがぼけてしまった。ステップ幅8でフォーカスシフト撮影をして、Photoshopで5枚合成するとツチトリモチとコケをシャープに見せることができた。5枚合成に留めたのは背景をぼかしてツチトリモチをすっきりと見せるためだ。
ニコン D850 AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED 絞り優先オート F16 2秒 -0.3補正 ISO200 WB:5000K 三脚使用

 

ニコンD850深イイ利用術【風景撮影編】
「フォーカスシフト撮影」撮影回数やステップ幅の目安について
広い風景のパンフォーカス撮影ではステップ幅1、撮影回数は5枚程度で十分なことが多い。被写界深度の浅いクローズアップ撮影では撮影回数は10枚、もしくはそれ以上必要になる。ただステップ幅が小さいとピント位置の差が小さすぎるので、4や8など広めのほうが適している。フォーカスシフト撮影であることはExif情報には記録されないため、新規フォルダを作成して記録する設定にしておくとよい。

 

D850 そのほかの便利なポイント

SnapBridgeで位置情報を埋め込める

ニコンD850深イイ利用術【風景撮影編】
SnapBridgeでスマートフォンとペアリングしておき、カメラの位置情報 – スマートフォンから取得をONにしておけば、スマホのGPS情報を撮影画像に埋め込める。ViewNX-iのようなソフトを使えば、地図上で撮影地を確認できる。移動しながら撮影することの多い風景撮影において、撮影地情報の管理をしておけるのは大きなメリットだ。ただ位置情報には誤差もあるので頼りすぎは禁物である。

 

 

〈写真・解説〉深澤 武

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