機材レポート

ニコン D850 深イイ利用術【ポートレート編】今こそ知りたいポテンシャルの引き出し術を大公開!

超高画素なのに高速連写できるニコンの最新フルサイズ一眼レフカメラ「D850」。風景撮影編に続いて、今回はポートレート撮影でAFを中心に使いこなし方を探ってみた。

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
ニコン D850

 

目次

  1. <9コマ/秒か? 7コマ/秒か?> ギリギリの瞬間撮影力で差がつく2つの連写速度。賢く選ぼう
  2. <使いでたっぷりのDXクロップ> DXフォーマットを活用すればD500と同等のAFエリアが使える
  3. <OVF撮影の顔認識AF> 光学ファインダーでも顔認識! オートエリアAFで十分に捕捉
  4. <4K切り出し> 切り出しでも約830万画素の高画質の写真をゲットできる
  5. <ライブビューの使いこなし> 超高画素もチルト&タッチで軽快&テクニカルに使いこなせる
  6. <カメラ内RAW現像> パソコンよりもずっと高速で快適な「一括現像」は利用価値大だ!

 

<9コマ/秒か? 7コマ/秒か?>
ギリギリの瞬間撮影力で差がつく2つの連写速度。賢く選ぼう

被写体の瞬間を狙うならMB-D18+EN-EL18bで9コマ/秒を! そこまで要らないのなら、MB-D18+通常バッテリーで7コマ/秒でも十分

D850の特徴といえば有効画素数約4575万画素と超高画素機ながら、極めて軽快に撮影できる高速連写力。その実力はボディ単体で7コマ/秒、マルチパワーバッテリーグリップMB–D18を付けた場合、最高9コマ/秒となる。はじめにそのあたりの実感を確認してみたい。

まず、本体のみでの7コマ/秒のパワーだが、これだけでも十分といえる連写性能。5コマ/秒のD810ユーザーであれば、画素数が増えている上にここまで連写性能が上がっているのは、それだけで垂涎の的。連続撮影枚数も大きく向上し(例えばロスレス圧縮RAW/14ビットでD810の28コマからD850では51コマにアップ)、連写もスムーズだ。ただし、使いこなすには、それ相応の高速メディアが必要になる。

MB–D18とバッテリーEN–EL18bを使った場合は最高9コマ/秒となって、体感としても別機種といってイイくらい高速連写が可能になる。高速連写が自慢のD500の10コマ/秒にもう少しで追いついてしまうパワーだ。本体はかなり大きくなるが、縦位置時の使い勝手も非常によくなり、画素数的にも十分なDXクロップとの組み合わせで動体撮影にも真っ向勝負できる実力だ。

 

D850で9コマ/秒連写するための条件がコレ

9コマ/秒の高速連写スペックはMB-D18にEN-EL18bを使うことで達成。そこまでハイスペックは不要、だけど縦位置グリップは欲しいという人はMB-D18のみでもOKだ。グリップ内には通常バッテリーのEN-EL15aや、単3形電池8本もセットでき、カメラ本体のEN-EL15aと合わせて使え、長時間の撮影にも対応。縦位置シャッターボタン、サブセレクター、縦位置AF-ONボタン、縦位置Fnボタンを搭載する。

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

 

連写速度の違いが「ココ!」という瞬間を撮れる確率の差に現れる

ちょうど左足が離れる直前からの連写カットを9枚並べてみた。9コマ後では、9コマ/秒ではジャスト1秒で左足が着く直前、7コマ/秒でちょうどスタート時と同じ左足が離れる瞬間となって、結構差があるのがわかる。MB-D18を装着したからといって、最初のタイムラグはもちろん変わらない。連写速度アップは、連写による途中の「当たり」を引く確率や、シーケンス内の動きの解析能力が影響する。

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
ニコン D850 AF-S NIKKOR 16-35mm f/4G ED VR マニュアル露出 F5.6 1/2000秒 ISO400 WB:オート

 
9コマ/秒
ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

 

7コマ/秒
ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

 

9コマ/秒連写はポートレートで表情を捉えるのにも有効だ

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
「ここだ!」と思ったら連写すれば最高の表情が逃さず撮れる
超高画素機だからといってあまり気負うことなく、スムーズに撮れてしまうのがD850。MB-D18を装着すると、重さもあって安定感が増す。9コマ/秒の連写はさすがに軽快で、AFも迷いなくスムーズ。撮影後のデータ量に怯えてしまうほど。
ニコン D850 AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED 絞り優先オート F1.4 1/2500秒 +0.7補正 ISO100 WB:オート0

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
今までミラーバランサーで対応していたものを、このD850ではより低振動とするためにシャッターカウンターバランサーを搭載。シャッター先幕の動きに合わせて逆方向にバランサーが動き、振動を打ち消す。高精度なAFと合わせて、スムーズな連写をもたらす。

 

 

<使いでたっぷりのDXクロップ>
DXフォーマットを活用すればD500と同等のAFエリアが使える

AF測距点を画面周辺で使いたいときや、望遠撮影を多用するときなどDXクロップをどんどん利用すべし!

D850は超高画素のぶん、クロップ機能も大いに使いでがある。クロップ設定は撮像範囲設定から1.2×、DX、5:4、1:1の4つから選ぶことができるが、一番小さい設定となるDXフォーマットでも約1946万画素と高解像をキープできる。

またそのメリットは画素数だけではなく、AFエリアのカバー率の点でも大きい。特にDXクロップにした場合、DXフォーマット機のフラッグシップであるD500と同等に、横幅はほぼ全域をカバーしてしまうほど。

もちろんファインダー撮影時は、スクリーン上に各撮像範囲の専用枠の表示もキッチリなされ、撮影範囲以外も見渡せるスポーツファインダー的な使い方も可能。その点ではD500を上回る使いこなしができる機能ともいえる。前ページでも触れた高速連写性能、そして顔認識も可能な高性能なオートエリアAF機能などと合わせ、動体撮影にも多用できるため使い勝手はすこぶるイイ。

ポートレート撮影であれば、風景混じりの引き写真など人物が小さめになりがちなシーンでは、しっかりと解像感を出すためにFXフォーマットで。動きながらのアクティブなシーンを狙うのであればDXフォーマットを使うなど、状況によって使い分けができる。しかも、解像感の点でもハイレベルの満足が得られる。このような一石二鳥の使い方を可能にいるのがD850のスゴいところだ。

 

ピント合わせしたい位置が画面の周辺の場合にはDXクロップが有効

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
AFエリアは横幅いっぱい(横位置時)に使えるので、測距点に制約を受けずに撮影できる。縦位置が多くなりがちなポートレート撮影ではもてあまし気味になるほど。測距エリアはD500とほぼ同じで、ファインダーでは枠外も見えるので、動きながらでも予測が効く。
ニコン D850 AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED 絞り優先オート F4 1/1250秒 +0.7補正 ISO400 WB:オート1

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
撮像範囲指定を「DX」にするとDXクロップが可能
D850ではフルサイズであるFXフォーマットをはじめ、全5種類のフォーマットから選択できる。DXフォーマットは一番小さいエリアになるが、約1946万画素と画素数的には十分だ。

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
ファインダー表示はマスクあり/なしを選ぶことができる
ファインダーは、撮像範囲の変更に合わせ、指定した範囲が枠線で自動的に表示される。さらには、マスク表示をすることもでき、その場合は枠の外が半透明の黒でマスクされる。初期設定は「しない」。クロップ時はスポーツファインダー的にも使えて便利だ。

 

 

<OVF撮影の顔認識AF>
光学ファインダーでも顔認識! オートエリアAFで十分に捕捉

キットレンズのような標準ズームでスナップポートレートならお任せAFで使える

ライブビュー撮影ではもちろんのこと、ファインダー撮影でもRGBセンサーによるシーン認識機能で顔認識が可能になっているのもD850の特徴。オートエリアAF時には自動的に顔認識機能が働き、人物の顔を中心にピント合わせを行なってくれる。大口径レンズで絞り開放などのシビアなピント合わせには向かないが、キットの標準ズームなど、被写界深度を利用したスナップポートレートではお任せにしてもいいほど精度の高い認識力だ。

顔認識に対しては、ライブビューAF時のような専用のモードは設定されていないのと、顔認識しているかどうかは測距点の反応を見るしかないので、明確なオン/オフの使い分けはできない。

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
180KピクセルRGBセンサーや専用AFエンジンの採用で「顔認識力」もスゴイ!
測距点の数も大幅に向上し、D5と同じ高精度153点AFシステムもさることながら、色情報を得る180KピクセルRGBセンサー、それを解析してAFに指令を与える専用のAFエンジンが搭載され、非常に精度の高いAFだ。

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
AFエリアモード「顔認識AF」
光学ファインダーで顔認識AFを効かせるには、ライブビューモードのように専用モードはなく、AFモードをオートエリアAFにすればOK。さらにAF-Cで使えば、顔を追いかけてAFで追従してくれる。

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
ラフに動きながら撮るのにピッタリの「顔認識AF」
105ミリF1.4で撮影したが、さすがに絞り開放での追従は難しそうなので、F4に絞って撮影。いっしょに動きながら撮影してみた。オートエリアAFでは面白いように顔付近の測距点がまとわりつき、追ってくれているのがわかる。

 

<4K切り出し>
切り出しでも約830万画素の高画質の写真をゲットできる

カメラを意識しないように動画で撮っておいて、切り出して高画質かつ自然なシーンに仕上げるのもイイ

D850では4Kでの動画撮影ができるようになっているが、再生時にその動画内から1枚を切り出すこともカメラ内操作で可能になっている。ちなみに4Kからの切り出しでは、3840×2160ピクセルで、約830万画素となり、A4サイズにプリントしても約260dpiと十分な画質でプリントできる。

切り出し操作は、ニコン一眼レフでこの機能初搭載となったD500に比べるとかなり簡略化され、簡単になっているのも特徴。再生時には拡大してのピント確認などはできないので、保存後によく確認する必要がある。また、動画のデータはかなり大きくなるので、その点は注意したい。

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
動画編集でフレーム保存すればOK
操作は簡単、動画を再生しながらいいところで一時停止し、前後のコマを確認。よければiボタンを押せば上の表示になるので、[表示中のフレームを保存]にしてOKを押せば終了。

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
4K切り出しで約830万画素の写真が得られる
4K動画から切り出したカット。パッと見、横長のアスペクト比に気が付かなかったら、普通に撮ったカットと見分けが付かない。顔認識AFで撮影したが、ピントもバッチリだ。
ニコン D850 AF-S NIKKOR 24-70mm f/2.8E ED VR F2.8 1/200秒 +1補正 ISO72 WB:オート

 

 

<ライブビューの使いこなし>
超高画素もチルト&タッチで軽快&テクニカルに使いこなせる

大幅に向上したライブビュー。操作性を活用したい

ライブビューでの使い勝手も先代のD810から大幅に向上、より活用の幅が広がっている。まずはチルト式モニターの採用、それに加えてタッチ操作も可能になったのは大きいところだろう。

タッチ操作ではタッチAF、タッチシャッターはもちろん、iボタン押しで表示されるメニューの選択や、通常のメニュー操作、そして再生時の操作までできるタイプで、D500よりも使える範囲が増した。直感的にサクッと、そして見やすい角度に調整して操作できるようになっている。

モニター画質も、D810の2倍のドット数である約236万ドットの高精細タイプに変更されている。拡大表示時にもその差を実感できる表示画質で、見やすい角度に調節できるチルト式と相まって、段違いの使いやすさを感じる部分だ。

またライブビューで新たに加わった機能としてピックアップしておきたいのは、ピンポイントAF、そしてピーキング。

ピンポイントAFは、今までのノーマルエリアAFよりさらに小さい1/4サイズの測距点が使えるようになった。画面で見ると、まさにピンポイントで、ボケを意識した撮影などで、目標の場所に、まさにピンポイントに合わせることができる。

ピーキングはMF時にピントの山を確認するのに便利な機能。他社では結構前から数多く採用されていて、ニコンでもようやく搭載されたかたちだ。

 

ピンポイントAF

隙間に見えている1点にピンポイントでフォーカス

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
木の隙間などから目にピント合わせする場合などで有効
かなり厳しい条件だと思うが、木々の間、さらに手前の目に確実にピントが合うようにピンポイントAFで撮影できた。ここでは手持ち撮影でも満足のいく結果になったが、ちょっとしたフラつきでもピンポイントを維持するのは難しい。三脚を使用してAF枠をターゲットに確実に重ねると、よりピンポイントに合焦可能だ。
ニコン D850 AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G 絞り優先オート F1.8 1/2500秒 +1.3補正 ISO400 WB:オート1

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
設定メニュー画面
切り替えはAFモードボタンを押しながら、前のサブコマンドダイヤルで選択。既存の4モードにピンポイントAFが加わり5つになった。

 

タッチパネルのチルトモニター

チルト&タッチでライブビューがすこぶる軽快に使える

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
ポジション・アングルで変化をつけて撮れる
ローアングルから背景を空に抜くように撮影。顔認識AFでもいいが、動いていると捉えきれないときがあるので、サクッとタッチのほうがラクな場合も多い。光学ファインダーメインでも、やはりライブビューを使う機会は多く、チルト式はうれしい。
ニコンD850 AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED 絞り優先オート F4 1/8000秒 +0.3補正 ISO400 WB:オート1

 

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
再生時にもフレームアドバンスバーを使った高速画像送りで活用
液晶モニターは3軸タイプのチルト式のタッチパネル。明るさ調整がしやすく、屋外でも使いやすい。

 

ピーキング

シビアなピント合わせでは大活躍の機能

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
オールドレンズ使用時にも活用、拡大表示とともに使いこなしたい
今までニコンが非搭載だったのが不思議なほど。ピーキングの色は赤・黄・青・白の4色から選べる。これは赤にした例で、レンズは AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED で絞り開放時。色を参考に前後に動かして山を見つける。

 

 

<カメラ内RAW現像>
パソコンよりもずっと高速で快適な「一括現像」は利用価値大だ!

撮影後補正はもちろん、容量や連写を考えた積極的な使用にも活用したい

地味な機能ではあるがカメラ内RAW現像機能もD850では強化されているもののひとつ。特に複数コマ選択や全画像選択での同時現像もでき、その現像にかかる時間もパソコンで処理するよりかなり高速だ。

設定できる項目は従来と同じく9つと変わらないが、オートホワイトバランスやピクチャーコントロール、JPEGの画質の選択肢は過去最大になっている。

活用法としては、例えば撮影時にRAWのみの設定にしておけば、撮影枚数などの容量の面でも、あるいは連写コマ枚数などの面でも優位になる。JPEGが欲しい場合は時間が空いたときに、露出などに問題がなければ撮影時設定のまま一気に現像してしまうなんていう使い方もできる。RAW+JPEG分割記録にしておけば、片方のカードにJPEGのみを一気に書き出すことも可能だ。

ただし、ファイル名が変わってしまう、コマ選択した場合、現像後に元の画像にすぐ戻れないなどのもどかしい点があるので、このあたりはさらなる改良を望みたいところ。

 

カメラ内RAW現像で手軽により美しい仕上がりが楽しめる

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
実はこの企画で最初にテスト撮りしたカット。補正を忘れて全体がアンダー目だったので、カメラ内RAW現像でザーッと選んで+1.3して一括現像。NX-Dで現像するよりもずっと短時間で簡単に現像できた。ある程度の露出はリカバーできるし、WB設定の調整などできることは多い。
ニコン D850 AF-S NIKKOR 105mm f/1.4E ED 絞り優先オート F1.4 1/2500秒 ISO100 WB:オート0

 

カメラ内RAW現像の手順

1. 画像選択から
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2. 現像する画像を選択
ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

3. 調整項目を設定
ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

4. 現像を選ぶ
ニコンD850深イイ利用術ポートレート編

複数カットを同じ条件で補正するならば、非常にラク。まずカットを選んだら、一番最初のカットがプレビューされるので、それを見ながらRAW現像の項目を選んで調整。最後に[現像]を選んでOKを押せば下の表示になる。

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
D850は一括現像が便利
処理される枚数が表示されるのでOKを押せば現像処理が行なわれる。処理中は進行のインジケーターが表示されるが、このくらいの枚数であればあっという間。とにかく高速なので、便利に使いこなしたくなる機能だ。

 

<結論>
高性能フルサイズ一眼レフD850はじっくり使える高機能・高性能をフル搭載した傑作機だ

ニコンD850深イイ利用術ポートレート編
これだけの高画素機となると、重厚でシビアで使いづらいのかと思いきや、実はフットワークを生かせる機動力の高いカメラであるとあらためて認識。連写機能、AF追従力は高速連写機に次ぐほどのパワーを見せつつ、圧倒的な高画質は、撮る者にとっては非常に魅力の高いカメラだ。ファインダーの見えも素晴らしく、一眼レフならではのいいところが凝縮されている。ミラーレス機が挑んできてもゆるがないアドバンテージと迫力を感じる存在だ。

 

 

〈写真・解説〉増田賢一 〈モデル〉斉藤明日美(シェリーズ・エンタテインメント)