周囲の環境まで取り込んだ美しい花撮影が楽しめる
美しくにじむようなボケが特徴のF1.2 PROシリーズ。この「17mm F1.2 PRO」は主役と背景の両方にこだわった花撮影に最適なレンズである。
開放F値が明るいため速いシャッターが切れ、ISO感度も抑えられていいことづくめだが、天気のいい日だと光量過多になるのが大口径レンズならではの注意点だ。NDフィルターを使う手もあるが、OM-D E-M1 Mark IIの電子シャッターを使えば、1/32000秒までの超高速シャッターが切れるので、露出オーバーになるのをほぼ抑えることができる。
ピント合わせはとても素早く、そして静かだ。絞り開放付近では被写界深度が極めて浅くなるので、ピント合わせは慎重に行なう必要がある。しっかり構えるのはもちろん、ライブビューを見ながらAFで合わせ、ときにはMFに切り替えて画面の一部を拡大して微調整しよう。フォーカスリングの動きもスムーズで操作しやすい。多重露出でボケを重ねるなど、意図的にピントを外したいときはフォーカスリングを前後に動かすだけで、瞬時にAFとMFの切り替えができるので便利だ。
花のクローズアップというとマクロや望遠をイメージするが、画角が狭いレンズは背景がすっきりしすぎてしまう。その点、準広角のこのレンズなら背景の雰囲気を感じさせることができる。花に迫りつつ、咲いている環境を伝える。それでいて花はシャープでありながら、滑らかなボケが得られる。私の作品づくりのための新たなレンズラインナップとなった。
周囲の様子をほんのり残す気持ちのいいボケが魅力
マクロレンズの最大撮影倍率には及ばないものの、小さなスズランをクローズアップしたら予想以上に存在感を出すことができた。開放F値はマクロレンズより明るく、周囲の草むらの様子がほんのり残るボケ具合が気に入っている。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/1000秒 +1補正 ISO200 WB:晴天
このレンズの魅力である美しいボケを見てみよう。ピント位置を拡大してみると、にじむように馴染んでぼけていくのがわかる。絞るにつれて徐々にはっきりしてくるが、開放から1段以上絞っても滑らかさがある。
自由な構図で山野草の可憐さを演出
主役をあえて画面の端に寄せることで、山野草の可憐さを感じさせることができる。草丈の短い花なので、アングルはかなり低い位置になるが、E-M1 Mark IIの可動式液晶モニターにより、楽な姿勢で撮ることができた。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/250 秒 -0.3補正 ISO200 WB:晴天
画面を幅広くカバーする121点AFシステム搭載
E-M1 Mark IIは121点オールクロス像面位相差AFを搭載している。画面のほとんどを覆うように測距点が並び、画面の隅に被写体が来るような構図でも快適なピント合わせができる。
しっとり濡れたアジサイを手持ちでシャープに
各所にシーリングを施した信頼性の高いボディーとレンズにより、雨の撮影も安心だ。薄暗いシーンでもレンズの開放F値が明るければ、そのぶん速いシャッターが切れ、ISO感度も抑えられる。E-M1 Mark IIの5軸手ぶれ補正も強力なので、手持ちで安心して撮影できる。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.6 1/200 秒 +0.3補正 ISO200 WB:晴天
MFでぼかし、多重露出で印象的に写す
多重露出を使って、ピントを合わせた写真とぼかした写真を重ねた。開放F値が明るいため、ぼかした写真もイメージどおりだ。フォーカスリングを前後に動かす「MFクラッチ機構」により、AF/MFの切り替えがスムーズにできる。
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/640秒 ISO200 WB:晴天
過酷なフィールドで安心して撮影できる
17mm F1.2 PRO はE-M1 Mark IIとともに、防塵・防滴・耐低温性能が備わっている。雨天時でも機材が濡れることを気にせず撮影に集中できるのがうれしい。
〈写真・解説〉吉住志穂
〈協力〉オリンパス株式会社