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ボケと解像力を両立した準広角レンズ「オリンパス 17mm F1.2 PRO」で花風景を高品位に描く

ボケ描写にこだわったオリンパス “F1.2 PRO” シリーズ。最短撮影距離の短い17mmは花撮影にもおすすめ。さっそくフィールドに持ち出し、美しくにじむボケと解像感の高い描写を楽しんだ。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
“F1.2 PRO” シリーズとして登場した、35mm判換算34mm相当となる準広角レンズ。解像度の高さと美しいボケを両立させたレンズとして、「カメラグランプリ2018 レンズ賞」を受賞した。
希望小売価格:165,000円(税別) レンズ構成:11群15枚 最短撮影距離:0.2m 最大撮影倍率:0.15倍(35mm判換算0.3倍相当) 絞り羽根:9枚(円形絞り) フィルター径:62mm 大きさ:最大径68.2×全長87mm 質量:390g

 

準広角の美しいボケ味はクローズアップで際立つ!

「17mm F1.2 PRO」は大口径F1.2の明るさとにじむような美しいボケ、そしてPROシリーズにふさわしい高いシャープネスを兼ね備えたレンズとして注目度が高い。開放F値が明るく最短撮影距離も短くなっているので、今回はにじむような美しいボケを楽しむため、積極的に花に迫ってクローズアップを狙ってみた。

大きな花なら画面いっぱいに写せるし、小さな山野草でもかなり寄れることに驚いた。絞り開放付近で撮影すると前後がスッとぼけていく。ぼけた部分を拡大してみると、輪郭が滑らかなのがよくわかる。風景シーンでも手前がほんのりとぼけ、ズームにはない奥行き感が出せる。準広角らしく背景の雰囲気を感じさせつつ、絞りを開け気味にしてぼかすことで、このレンズの特徴を引き出すことができるだろう。

 

被写体にグッと寄り、美しくにじむボケで印象的に捉える

開放F1.2と明るいだけではなく、被写体に寄れるのもこのレンズの特徴。ユリの雌しべにピントを合わせると、前後の花びらがフワッとぼけた。しかも、ボケの輪郭が軟らかで、美しくにじんでいる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
OLYMPUS OM‒D E‒M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/250秒 +2補正 ISO200 WB:晴天

 

ハイレゾショットの緻密な描写がレンズ性能をさらに引き出す

手前側をぼかすことで花畑の奥行きを感じさせることができた。17mmの広がりと開放F1.2の明るさによって生み出された表現だ。レンズ自体のシャープ感が高く、さらにハイレゾショットで撮影したので、ピントを合わせた部分は細部まで緻密に描写されている。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/5000 秒 -0.3 補正 ISO200 WB:晴天 50Mハイレゾショット

 

OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II 12-40mm F2.8 PRO キット発売記念
撮影フィールドを広げよう!キャンペーン
高速性能に磨きを掛けたフラッグシップ機「OM-D E-M1 Mark II」に大口径標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」をセットにしたキットモデルが登場。キットモデルまたはボディー購入者を対象としたお得なキャッシュバックキャンペーンを2018年8月18日まで実施中!

オリンパスF1.2 PROシリーズ

 

 

周囲の環境まで取り込んだ美しい花撮影が楽しめる

美しくにじむようなボケが特徴のF1.2 PROシリーズ。この「17mm F1.2 PRO」は主役と背景の両方にこだわった花撮影に最適なレンズである。

開放F値が明るいため速いシャッターが切れ、ISO感度も抑えられていいことづくめだが、天気のいい日だと光量過多になるのが大口径レンズならではの注意点だ。NDフィルターを使う手もあるが、OM-D E-M1 Mark IIの電子シャッターを使えば、1/32000秒までの超高速シャッターが切れるので、露出オーバーになるのをほぼ抑えることができる。

ピント合わせはとても素早く、そして静かだ。絞り開放付近では被写界深度が極めて浅くなるので、ピント合わせは慎重に行なう必要がある。しっかり構えるのはもちろん、ライブビューを見ながらAFで合わせ、ときにはMFに切り替えて画面の一部を拡大して微調整しよう。フォーカスリングの動きもスムーズで操作しやすい。多重露出でボケを重ねるなど、意図的にピントを外したいときはフォーカスリングを前後に動かすだけで、瞬時にAFとMFの切り替えができるので便利だ。

花のクローズアップというとマクロや望遠をイメージするが、画角が狭いレンズは背景がすっきりしすぎてしまう。その点、準広角のこのレンズなら背景の雰囲気を感じさせることができる。花に迫りつつ、咲いている環境を伝える。それでいて花はシャープでありながら、滑らかなボケが得られる。私の作品づくりのための新たなレンズラインナップとなった。

 

周囲の様子をほんのり残す気持ちのいいボケが魅力

マクロレンズの最大撮影倍率には及ばないものの、小さなスズランをクローズアップしたら予想以上に存在感を出すことができた。開放F値はマクロレンズより明るく、周囲の草むらの様子がほんのり残るボケ具合が気に入っている。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/1000秒 +1補正 ISO200 WB:晴天

 

このレンズの魅力である美しいボケを見てみよう。ピント位置を拡大してみると、にじむように馴染んでぼけていくのがわかる。絞るにつれて徐々にはっきりしてくるが、開放から1段以上絞っても滑らかさがある。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例

 

自由な構図で山野草の可憐さを演出

主役をあえて画面の端に寄せることで、山野草の可憐さを感じさせることができる。草丈の短い花なので、アングルはかなり低い位置になるが、E-M1 Mark IIの可動式液晶モニターにより、楽な姿勢で撮ることができた。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/250 秒 -0.3補正 ISO200 WB:晴天

画面を幅広くカバーする121点AFシステム搭載

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
E-M1 Mark IIは121点オールクロス像面位相差AFを搭載している。画面のほとんどを覆うように測距点が並び、画面の隅に被写体が来るような構図でも快適なピント合わせができる。

 

しっとり濡れたアジサイを手持ちでシャープに

各所にシーリングを施した信頼性の高いボディーとレンズにより、雨の撮影も安心だ。薄暗いシーンでもレンズの開放F値が明るければ、そのぶん速いシャッターが切れ、ISO感度も抑えられる。E-M1 Mark IIの5軸手ぶれ補正も強力なので、手持ちで安心して撮影できる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.6 1/200 秒 +0.3補正 ISO200 WB:晴天

 

MFでぼかし、多重露出で印象的に写す

多重露出を使って、ピントを合わせた写真とぼかした写真を重ねた。開放F値が明るいため、ぼかした写真もイメージどおりだ。フォーカスリングを前後に動かす「MFクラッチ機構」により、AF/MFの切り替えがスムーズにできる。

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO作例
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO 絞り優先AE F1.2 1/640秒 ISO200 WB:晴天

過酷なフィールドで安心して撮影できる

M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
17mm F1.2 PRO はE-M1 Mark IIとともに、防塵・防滴・耐低温性能が備わっている。雨天時でも機材が濡れることを気にせず撮影に集中できるのがうれしい。

 

 

〈写真・解説〉吉住志穂
〈協力〉オリンパス株式会社