機材レポート

【ニコン歴代カメラ】ニコン S4 –価格競争力をつけたS3の兄弟機

1917年から2017年に至るニコン100年の歴史はカメラだけでは語れない。双眼鏡、顕微鏡、レンズ、測定・検査機器、測量機、半導体露光装置(ステッパー)、その他さまざまな光学製品やその応用技術から成り立っている。また、それは技術者のたゆまぬ研究・開発努力によって構築されてきたことは言うまでもない。ここでは、その長い道のりの第一歩から順を追って見ていく。

 

いくつかの機能を省略することで価格競争力をつけたS3の兄弟機(since1959)

 

 

Sシリーズを持つニコンにとって、主要なライバルはキヤノンであった。そのキヤノンが1958年に発売したP型は当時のカメラ業界にとって衝撃的なものだった。ファインダーこそキヤノンのお家芸であった変倍ファインダーではないが、35、 50、100ミリのフレームの入ったアルバダ式ブライトフレームファインダーとし、基本的な性能は確保しながら50ミリ F1.8の標準レンズ付きで4万7700円と驚くほど安価な価格設定で登場したのだ。その当時のニコンS3の価格がF1.4の標準レンズ付きで8万6000円であったので、その差は大きかった。

これに対抗するために、ニコンS3の機能を更に簡略化し、精一杯コストダウンしたものがニコンS4だ。発売は1959年3月。その3か月後にはニコンFが登場するという、微妙な時期であった。

3種のフレームを持ったアルバダ式のブライトフレームファインダーは、35ミリのフレームを取り去って2種のフレームとし、フィルムカウンタ ーは自動復元式をやめ、S2以前の手動でセットする形式に戻った。更にセルフタイマーも取り去り、モータードライブの装着機能も省略した。

しかし、キヤノンPのコストダウンは機能の省略ばかりではなく、生産方式を見直して最先端の量産技術を導入したことによる効果が大きい。そこまで手を付けなかったニコンS4のコストダウンには、やはり限界があったようである。米国にはこのS4は輸出されなかったと言われている。

 

ニコンS4の特徴

ニコンS3から、一般のユーザーにとってはなくてもあまり支障がない機能を省き、その分価格を下げて買い求めやすいカメラとしたものが、ニコンS4と言える。他のメーカーではこのような兄弟機を造る際に、高速シャッターを省いたり露出計の連動を機能をやめるケースも多いが、S4ではそこのところはしっかりと温存されている。

 

 

S3のボディはそのまま踏襲しながら合理的な観点で機能を省いていった

セルフタイマー

SPから内蔵され、S3に受け継がれたセルフタイマーは、通常の撮影ではそれほど使われない機能として、 S4では省略された。

 

35ミリのブライトフレーム

S3と同様のアルバダ式ブライトフレームファインダーだが、35ミリのフレームは省略され、 50、105ミリの2種のみとなった。

 

フィルムカウンター

SPから採用された、裏蓋の開閉に連動してスタート位置に戻る自動復元式のフィルムカウンターは、手動でスタート位置に戻す形式に変更された。

 

シンクロ接点

ドイツ型の単一のシンクロソケット、シャッターダイヤルの外周を持ち上げて切り換えるシンクロ接点のタイミング調整は、SPやS3と変わっていない。

 

軍艦部の機能はS3とほぼ同様

軍艦部を上からみたところはS3に酷似しているが、手動式となったフィルムカウンターの黒ダイヤルのみが異なっている。

 

 

 

モータードライブでの高速化を前提にしたニコン初のハーフサイズカメラ

1960 ニコン S3M

ニコンS3Mが発売されたのは、1960年のことである。この機種はニコンで唯一のハーフ判(24×18㍉)のカメラだ。他のSシリーズやFのモータードライブが3~4コマ/秒のコマ速であったのに対して、ハーフ判にすることにより6コマ/秒の高速連続撮影を実現した、電圧を上げれば9コマ/秒も可能であったという。モータードライブは、専用のS72が装着できる。画面サイズの変更に伴って、ファインダーとフィルムカウンターがニコンS3と異なっている。

 

 

ハーフ判用の縦型ファインダーとフレーム切り換えレバー

ハーフ判なのでファインダーフレームも縦長だが、S3のように35、50、105ミリのレンズに対応したアルバダ式のフレームが設けられている。S3のように3つのフレームが常時出ているのとは異なり、接眼部のスライドレバーで1つずつ切り換えてフレームを表示するようになっている。

 

軍艦部とフィルムカウンター
フィルムカウンターは、S3と同様に自動復元式で、72枚までの数字がある。ただ、1コマごとに目盛が1つ進むのではなく、2コマ撮影すると1目盛進むという変則的な動きをする。 S3の機構をそのまま流用したため、こうなったのだろう。