機材レポート

操作性はエントリーモデルっぽいけど、機能や描写性能には満足!!『オリンパス PEN Lite E-PL1』

オリンパス PEN Lite E-PL1

PENシリーズの末っ子で、エントリーモデルに属する『オリンパス PEN Lite E-PL1』。ということで、機能や仕様と同様に気になるのが…いや、それ以上に気になるのが、操作性(操作フィーリング)の善し悪し、ではないだろうか? モデルの性格上、ボディデザインや外装素材で差が出るのは仕方がない(もちろん、個人の好みによって優劣は変わってくると思うが)。だけど、撮影中に「ああ、やっぱりエントリーモデルの操作感だなぁ」と感じられるようでは、いくら軽快なカメラでも魅力半減だからねぇ…。

上位モデルの「PEN E-P1」や「PEN E-P2」との大きな違いは、メインダイヤルとサブダイヤルの有無。どちらも」背面側に配置されるダイヤルだが、これらが「PEN Lite E-PL1」には存在しない。十字ボタンがメインダイヤルの代わりをするが、サブダイヤルの代わりはない。その簡略化によって、各種の操作や設定に”シワ寄せ”が出てくる場合がある。たとえば、絞り優先やシャッター優先のモードで設定値を変える場合や、露出補正値を変える場合。どちらも、最初に露出補正ボタン(十字ボタンの上側)を押す必要がある。その手順は簡単に覚えられるけど、一般的な2ダイヤル式のカメラよりも”手順がひとつ増える”のは事実。優先モードの設定値も露出補正値も、どちらも頻繁に操作するだけに、ちょっと気になってくるのだなー。まあ、このあたりの操作性はコンパクトデジカメに近いかもしれないけど、そういう感覚で操作すれば、さほど不満は感じない。

機能に目を向けてみると、上位モデルにはない”内蔵フラッシュの搭載”が光る。それと、電子ビューファインダーを装着するための「アクセサリーポート」が搭載されている点かな。これは「PEN E-P1」にはない機能(装備)だからね。ちなみに、そのアクセサリーポートに装着する電子ビューファインダー「VF-2」は、高精細144万ドット・視野率100%という仕様なので、かなりイイ感じの見え具合だったヨ。そんなワケで、この「VF-2」は、使用レンズが高倍率ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150ミリF4.0-5.6」時などは”必須アイテム”かもしれないね。

描写性能に関しては、まず「高感度時の描写はかなり良好」という印象を持った。そして、オートホワイトバランス(AWB)による色調も、晴天の風景などでチェックした限りでは、けっこう好印象だったね。「仕上がり」設定による描写の違い(主に色再現)で、「VIVID」と「NATURAL」と「FLAT」の差があまりないのは少し物足りなさを感じた。そのぶん「i-FINISH」の派手さは目立ったけどね。

このように、操作性に関してはエントリーモデル故の物足りなさも感じられるけど(ボク個人として)、撮影機能や描写性能に関しては、予想以上に好印象を持った『オリンパス PEN Lite E-PL1』。正直なところ、使用する前は「ま、エントリーモデルだから、あまり期待しない方がイイかもね」と、ちょっと醒めた意識があったけど、実際に使用してみると、前述の操作性の面を差し引いても、かなり楽しく快適に撮影することができた。そんでもって、高感度時の画質も予想以上だったので、ボクの中での好感度もかなりアップ(笑)。

標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42ミリF3.5-5.6」の仕様や描写は”可もなく不可もなく”といった印象だけど、1本目のレンズとしては悪くない。もちろん、この「PEN Lite E-PL1」を存分に楽しみたいなら、パンケーキレンズ(17ミリF2.8やパナソニックの20ミリF1.7)や、広角ズームの「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18ミリF4.0-5.6」あたりは揃えたいけどね。

ISO100(C)吉森信哉
「PEN Lite E-PL1」の高感度時の描写を、最低感度ISO100の描写と比較してみた(中間の感度は省くけど)。中央の植え込みの細部に関しては、ISO1600くらいまでまで破綻がなく良好な描写。最高感度ISO3200まで上げると、さすがにキビシくなってくる。植え込みの背後の”暗めの植え込み”部分を見ると、ISO800くらいからハケで塗ったような省略化が見られ、ISO1600くらいになるとそれにノイズ感が加わってくる。…ということで、他のカメラと同様に、撮影状況や絵柄によって”許容できるISO感度”は変わってくるだろう。

ISO100(C)吉森信哉
ISO100

ISO800(C)吉森信哉
ISO800

ISO1600(C)吉森信哉
ISO1600

ISO3200(C)吉森信哉
ISO3200

都市風景を「ポップアート」で撮る(C)吉森信哉
6種類のアートフィルター機能のうちで、ボクが最も好きなのが「ポップアート」。ちょっと不自然な色鮮やかな描写になるけど、そのぶん視覚的インパクトは大きい。このカメラは、通常の描写がナチュラルっぽいので、たまにはこの「ポップアート」のようなガツーンとした描写もイイものだ。
◆オリンパス PEN Lite E-PL1 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42ミリF3.5-5.6(14ミリで撮影) アートフィルター:ポップアート F10 1/320秒 WBオート ISO200 4032×3024ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

都市風景を「ラフモノクローム」で撮る(C)吉森信哉
「ラフモノクローム」も、ボクの好きなアートフィルター。このガリッとしてザラッとした感覚、フィルム時代を思い出すねぇ。そう、トライX(※コダックのISO400モノクロフィルム)をガツーンと増感処理(現像)したような印象なのだなー。
◆オリンパス PEN Lite E-PL1 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42ミリF3.5-5.6(14ミリで撮影) アートフィルター:ラフモノクローム F10 1/250秒 ISO200 4032×3024ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

公園からの風景(C)吉森信哉
公園からの風景
◆オリンパス PEN Lite E-PL1 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42ミリF3.5-5.6(17ミリで撮影) 絞り優先オート +0.7補正 F11 1/250秒 WB晴天 ISO200 4032×3024ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

フェンスに絡まるツタと葉(C)吉森信哉
フェンスに絡まるツタと葉
◆オリンパス PEN Lite E-PL1 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42ミリF3.5-5.6(42ミリで撮影) 絞り優先オート F5.6 1/100秒 WBオート ISO400 4032×3024ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)

サルスベリの花と夕日(C)吉森信哉
サルスベリの花と夕日
◆オリンパス PEN Lite E-PL1 M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42ミリF3.5-5.6(14ミリで撮影) マニュアル F5.6 1/160秒 WBオート 内蔵フラッシュ ISO100 4032×3024ピクセル JPEG(※オリジナルデータ)