2019年5月23日、東京・晴海にある「CROSS DOCK HARUMI」にて、富士フイルムのミラーレスカメラ「GFX/Xシリーズ」のファンミーティング「FUJIKINA 2019」のプレス向けイベントが行われ、新製品「FUJIFILM GFX100」が発表された。発売は2019年6月下旬予定。価格はオープンだが、公式オンラインショップでの価格は132万3000円(税込/ボディ)。
<2019.5.28> 発売日が2019年6月28日(金)に決定。
GFX100は対角線長55mmのラージフォーマットセンサーを採用し、画素数が約1憶200万画素という驚きの超高画素モデル。同シリーズの既存のラインナップにはGFX 50SとGFX 50Rがあるが、いずれも約5140万画素機であり、GFX100ではその約2倍の画素数を達成したことになる。ここでは、その発表会の様子と本機の詳細や特徴についてお伝えしたい。
真に革新的なカメラが市場を活気づかせる
発表会では、まず同社の代表取締役会長・CEO 古森重隆氏が登壇。GFXやXシリーズのカメラはミラーレスカメラとして新規に設計されたことから、現代のデジタルカメラとして最適な設計が行えるという同社製品の特徴などについて紹介。光学的・機械的にはもちろん、優美なデザインや人間工学的にも優れたカメラを作り出せているとした。
▲富士フイルム代表取締役会長・CEO 古森重隆氏。当日は海外のプレス関係者も多く、プレゼンテーションはすべて英語で実施された
また、話のなかで今回のGFX100は約1憶200万画素という超高画素機でありながらボディ内手ブレ補正を搭載し、立体的で色再現に優れた写真を「手持ち」で撮れるという点に言及。最近はデジタルカメラ市場について悲観的な意見も聞かれるが、その原因は真に革新的な製品が用意されていないためであるとし、「GFX100のような革新的な製品を出し続けることで、まだまだ活気に満ちた市場になっていくはず」と語った。
▲マウントは大口径のFUJIFILM Gマウント。センサーは対角線長55mmの“ラージフォーマット”有効1憶200万画素、裏面照射型CMOSを採用。銅配線の採用などにより、高速な読み込みを可能としている。加えて、センサーシフト式の5軸手ブレ補正が搭載され、約5.5段分の補正が可能。大型センサーだけに、非常に高精度かつ力強い駆動システムを持つ
続いて、光学・電子映像事業部長の飯田年久氏が登壇し、新製品であるGFX100の詳細について紹介。それによると、GFX 100のセンサーは高画素化しながらも受光面積を拡大。ISO102400の超高感度撮影を可能にしているという。しかもダイナミックレンジが広く、16bit出力(データ上は10bit)が可能。色調が美しく、低ノイズで肌の色なども美しく再現できるという。加えて、動画もラージフォーマットカメラ初となる、4K30pでの4:2:2 10bit記録が可能となっている。
超高画素だけど使い勝手は問題ない? 実際に触って確かめてみた
GFX100は、重さ1.3㎏(ボディ)と軽量で機動性にも優れ、前述のとおりシャッター速度で約5.5段分の効果があるセンサーシフト式5軸手ブレ補正を搭載。1憶画素オーバーでありながら、手持ち撮影が可能だ。センサーには、378万点の像面位相差AFセンサーが組み込まれ、全画面でのAFが可能。しかも、-2EVという低照度下でもAFが機能する。もちろん、顔・瞳優先AFに対応しているので、ポートレート撮影などでも高精度なピント合わせが行える。
▲カードスロットはSDカードのダブルスロットを採用。高速書き込みが可能なUHS-Ⅱに対応する
▲ボディ下部にはバッテリーケースを備える。バッテリーを2本入れることができ、約800枚の撮影が可能という
▲HDMI端子やUSB-C端子を備える。USB-C端子を用いての充電や給電も可能
操作系は、富士フイルムのカメラとしては少数派といえる、電子ダイヤルを中心とした方式を採用。その理由としては、本機はプロユースがメインのカメラであり、静止画と動画をモードを切り替えながら並行して撮影することを考えた場合に、アナログダイヤル式だと動画と静止画を切り替えるごとに各種設定をやり直す必要が出るなど操作が煩雑になってしまうからだという。
▲静止画と動画の切り替えダイヤルとドライブボタンを左手側上面に配置。静止画撮影と動画撮影を素早く変更できる。ドライブモードの変更もスムーズだ
▲上面右手側には、大型の撮影情報表示モニターを搭載。通常の撮影設定のほか、バーチャルダイヤル表示やヒストグラム表示に切り替えられる
▲背面モニターの下にも情報液晶モニターを搭載。カメラ設定やヒストグラムなどを表示可能
実機に触れてみると、超高画素機とは思えないほど動きが滑らかで、タッチ操作での再生画像の表示拡大などもスムーズに行えた。また、ミラーレスカメラの要ともいえるEVFは576万ドットの超高精細タイプで、極めて自然な見え味だった。手ブレ補正も強力で、ズームレンズの標準域でチェックした限りではファインダー視野がぶれることなく、安定した画面で構図決定や露出調節などが行えることを確認できた。
▲ファインダーは約576万ドットの高精細タイプを採用。また、自由なアングルで撮れるEVFチルトアダプター「EVF-TL1」にも対応する(写真2枚目)
▲ファインダー内。約576万ドットと極めて高精細で、撮影情報表示もクリアに見える。色もかなり正確に再現されているようだ
「FUJIKINA 2019 東京」でタッチ&トライができる!
GFX100は注目の1憶画素機ではあるものの、100万円を超える高価なカメラであり、ハイアマチュア(あるいはプロ)であっても気軽に購入……とはいかないだろう。とはいえ、本機に導入されたセンサーや手ブレ補正機構、動画撮影機能などが、今後の下位機種やXシリーズなどに転用・応用される可能性も十分に考えられる。そうした富士フイルムのカメラの今後を垣間見ることができるカメラという意味でも要注目だ。
なお、本機は5月25日(土)と26日(日)に開催される「FUJIKINA 2019 東京」の会場でタッチ&トライが可能とのこと。そのほか会場では、同社XシリーズのフラッグシップモデルやGFX 50Sなどのレンタルサービス、人気写真家のトークショーなども実施される予定。GFX100に限らず、富士フイルムのカメラに興味のある方や、ユーザーの皆さんには、ぜひ参加していただきたいイベントだ。
▲FUJIKINA会場の看板。「東京」のロゴをよく見ると……「GFX」の文字が隠されている!