ソニーの高級コンパクトカメラ「RXシリーズ」のなかでも、その特徴的な見た目やタフネス性能で異彩を放つ「RX0 II」。前回の記事ではそのフィーリングや画質、スピード性能などについて紹介したが、本稿では従来モデルとの違いを中心に見ていこう。
ソニー
RX0 II
実売価格84,880 円(税別)従来モデルRX0と同様のキューブ型ボディが印象的な二代目モデル(2019年4月発売)。高画質設計でありながら、高い防水性能や堅牢性も備えている。
撮影の自由度を高める可動式モニター
▲チルト可動式液晶モニターの可動域は、上方向約180度、下方向約90度まで。
RX0 IIには、上下に可動するチルト可動式液晶モニターが新搭載された。それによって、自由なカメラポジションやアングルで快適に撮影できるのだ。もちろん、自撮りでも重宝する。
しかも、モニターを可動させた状態でも防水・防塵性能はキープされるので、水辺や水中の撮影でもさまざまなポジション&アングルで撮影できる。そう、このチルト可動式液晶モニターの搭載によって、RX0 IIは前モデルRX0よりも機動力の高いカメラへと進化したのである。
ただし、液晶モニターを可動させた(引き出した)状態では、高さ2.0mの落下耐性や、最大200kgfの耐荷重性能はキープできない。その点は注意したい。
<作例>
可憐な白い花を咲かせる藤の花を、地面すれすれの位置から見上げるように狙う。それによって、この藤の木をダイナミックに表現できた。こういったアプローチが容易にできるのも、チルト可動式モニターの魅力である。
ソニー RX0 II プログラムオート F4 1/1250秒 WB:オート ISO125
<作例>
水際でカメラを半分くらい水中に浸け、目の前の流れ落ちる滝と水中の両方を写し込んだ。こういった状況だと、モニター固定式のカメラは画面の確認が非常に困難。だが、チルト可動式モニターなら画面確認が容易で、とても快適に撮影できる。
ソニー RX0 II プログラムオート F4 1/50秒 WB:オート ISO200
▲撮影時の様子
最短撮影距離が大幅に短縮
前モデルRX0の最短撮影距離は約50cmだったが、RX0 IIでは約20cmへと大幅に短縮された。
<作例>
ワイド端で5cmや8cmまで接近できるRX100シリーズと比べると、約20cmというのは少々物足りなさを感じてしまうものの、テーブルフォトやちょっとした花撮影程度なら十分に対応できる。
ソニー RX0 II プログラムオート F4 1/500秒 WB:オート ISO125
4K動画の本体内記録に対応
動画撮影機能に関しては、前モデルのRX0はフルHD動画(FHD:1920×1080)までの対応で、4K動画(QFHD:3840×2160)はHDMI出力での対応にとどまっていた。だが、今回のRX0 IIでは、4K動画もカメラ本体記録が可能になった。
画素加算のない全画素読み出し、4K動画に必要な画素数の約1.7倍の情報量を凝縮して出力することで、モアレやジャギーが少なくて解像感の高い画質を実現している。また、動画撮影時の本体内電子手ブレ補正にも対応しているので、手持ちでもブレの少ない動画撮影が可能になる。
<4K動画(4K/30p)の作例>
携行スタイルや取り扱いを気にする必要のない“小粋でタフなガジェット”
多くのコンパクトデジカメに採用されている1/2.3型の約4倍の面積にあたる1.0型センサー。近年では、その大型センサーを採用する小型軽量なコンパクトデジカメも多く発売されているが、そのなかでも「RX0 II」の小ささは群を抜いている。
▲簡単に指でつまめるほどのサイズ感だ
チルト可動式液晶モニターを搭載したことで、前モデルRX0よりも厚み(奥行き)が5mm強ほど増えたが、幅59mm×高さ40.5mmというサイズは驚異的。このモニター方式の変更(固定式から可動式に)によって、その機動性やタフネス性能は、より一層生きてくる。
改めてソニー「RX0 II」、携行スタイルや取り扱いを気にする必要のない“小粋でタフなガジェット”と呼びたいカメラだ。また、カメラとしてのパフォーマンス(撮影機能や画質)も、RXシリーズに相応しいものである。
▲小粋でタフな、RX0 II。“どう使うか?”は、ユーザー次第である。
▲RX100やRX0シリーズに相応しいデザインの、リモコン機能付きの三脚グリップも用意。マルチ端子ケーブルを搭載し、レリーズ、録画開始/停止、ズーミング、などの操作が行える。また、ミニ三脚としても使用できる。