中村文夫の古レンズ温故知新「RICOH XR RIKENON 45mm F2.8」
パンケーキレンズとは、鏡筒の長さが極端に短いレンズの総称。見た目がパンケーキのように薄っぺらいので、この名が付いた。最初にブームを起こしたのは1976年発売の「SMC PENTAX-M 40mm F2.8」で、「XR RIKENON(リケノン) 45mm F2.8」はこの17年後の1993年に発売された製品だ。
その翌年にはパンケーキタイプの「XR RIKENON 28mm F3.5」が登場し、これを機にパンケーキレンズブームが再燃。パンケーキレンズの新たな可能性を示したことで、現在のデジカメ用パンケーキレンズへの橋渡し的な役目を果たすことになる。
重量わずか55gのユニークな軽量パンケーキレンズ
「XR RIKENON 45mm F2.8」の重量はわずか55g。恐らく35mm一眼レフ用交換レンズでは最軽量の製品だ。リコーは1990年の「XR RIKENON 50mm F2 L」発売にあたり、ヘリコイドネジプラスチック化の技術をドイツから導入。これをベースに量産化技術を確立するが、いわばこの努力が超軽量パンケーキレンズとして実を結んだというわけだ。
またパンケーキレンズの多くはコンパクト化を優先した結果、ピントリングの幅が狭くなっているが、このレンズは約8mmを確保しており、ストレスなく撮影が楽しめる。
Kマウント一眼レフならアダプターなしで楽しめる
鏡筒の厚みは実測で約18mm。ピントリングの幅が広いので使いやすい。レンズ構成は3群4枚のテッサータイプだ。
リコーのレンズマウントは、ペンタックスと同じKマウント。ペンタックスのデジタル一眼レフならアダプターなしで、そのまま装着できる。絞りリングに「A」位置がないタイプなので、「K-1」で使うときはMモードにセット。グリーンボタンを押すと適正露出が得られる。
焦点距離は45mmで、対角線画角は50°。50mmより画角が6°広いので、スナップ撮影に最適だ。
ペンタックスK-1 F11 1/500秒 ISO400 WBオート
〈文・写真〉中村文夫