中村文夫の古レンズ温故知新「BeLOMO MC Peleng 8mm F3.5」
BeLOMO MC Peleng (ペレング) 8mm F3.5
最短撮影距離は約0.2mで、絞りはプリセット式。旧共産圏特有の品質管理の緩さゆえ、仕上げは決して高級とは言えないが写りは侮れない。
フルサイズ機に組み合わせると円形の写真が撮れる円周魚眼レンズ
カメラ用撮影レンズとして発売されている魚眼 (フィッシュアイ) レンズは主に2タイプに分けられる。イメージサークルの直径をフィルムサイズの短辺の長さに合わせ、円形の画像が写る「円周魚眼レンズ」と、画面の対角線長にイメージサークル径を合わせ、画面からはみ出た上下、左右の画像をカットして長方形画面がフルに利用できる「対角線魚眼レンズ」だ。
円周魚眼レンズで撮影した写真は、見る者に強いインパクトを与える反面、画面構成がしづらいという欠点がある。その点、対角線魚眼レンズは画面が長方形なので作画がしやすく、画面外の未露光部分が無駄にならないというメリットがある。そのため現在、各カメラメーカーが発売する魚眼レンズは、対角線魚眼が主流になっている。
今でも3万円前後で新品が手に入る
今回紹介するペレングは、1971年ごろにベラルーシのBeLOMO (ベロモ) が発売した円周魚眼レンズだ。ebayでは今でも新品が入手可能で、ニコンF、キヤノンEF、M42など多彩なマウントを用意。デジタル一眼レフだけでなく、マウントアダプターを用意すればミラーレス機で円周魚眼レンズならではの表現が楽しめる。値段は3万円前後。選択肢の少ない円周魚眼レンズのなかで、お買い得のレンズと言えるだろう。
派手なゴーストが写真に面白い効果を与える
商品名のMCが示すとおりマルチコーティングが施されているが、さすがに強い光源が画面に入ると派手なゴーストが発生する。この作品では太陽から出たゴーストが画面外にはみ出しているが、逆にこの効果を利用すると面白い写真が撮れる。
PENTAX K-1 F5.6 1/8000秒 ISO800 WBオート
〈文・写真〉中村文夫