レンズ位置がボディ右側(前面から見た場合)に大きく寄っていて、従来モデル「DP2x」とは印象が異なる『DP2 Merrill』。また、上面にあったモードダイヤルもなくなり、シャッターボタン周囲には大きめの「コマンド」が搭載されている。
幅121.5mm×高さ66.7mm×奥行59.2mm…と、外寸の数値はいずれもDP2xよりも大きくなっている。だから、一般的なコンデジと比べると、どうしてもかさ張る印象を受けてしまう。もちろん、レンズ付きのミラーレス一眼よりは小さいけどね。
通常のデジタルカメラに採用されている「ベイヤー式イメージセンサー」は、1ピクセルで1色しか取り込めず色の補間処理によって色のディテールが失われたりする。また、色補間によって発生する偽色の問題や、それを抑えるためのローパスフィルターによる解像感の低下なども問題視されている。
シグマのSDシリーズ(デジタル一眼レフ)やDPシリーズに搭載されている「Foveon X3ダイレクトイメージセンサー」は、3つの層でRGBすべての色情報を垂直方向に取り込むことができる。そのため、色補間などの後処理を加えなくて済み、レンズからセンサーに送り込まれてきた光を“ありのまま”に再現することができる。…まあ、簡単に言えば「圧倒的な高精細とリアルな質感描写が得られる方式」なんですって。
…とはいえ、従来のDP2xに搭載されていたFoveon X3ダイレクトイメージセンサーは、有効画素数こそ約1400万画素と高画素だが(2652×1768×3層)、記録画素数的には“500万画素足らず”と少々サビシイ値だった。そのため、撮影画像をパソコン画面でチェックしても「う~ん、圧倒的な解像感と言われても、あまりピンとこないんスけど…」という印象を受けた。
だが、今回の『シグマ DP2 Merrill』のセンサーは違う。有効画素数は「4800×3200×3層」の約4600万画素で、記録画素数も“約1500万画素”と、かなり高画素。なんと、従来モデル(DP2x)の画素数の“約3倍”という大幅アップ!! ちなみに、センサーサイズも、従来の「20.7×13.8mm」から「23.5×15.7mm※APS-Cサイズ」に大型化されている。
それにしても、カメラのタイプやセンサー方式は違うけど、ニコンのD800(従来モデルD700との比較)を彷彿とさせる画素アップっぷりだねぇ~。
で、肝心の画質はと言うと…いや~、見事ですわ。あまり評価が高いとは言えない(失礼!)撮って出しのJPEG画像をチェックしても、その目を見張るような高精細ぶりに感心する。もちろん、これには「Foveon X3ダイレクトイメージセンサー」だけでなく「30ミリF2.8」のレンズ性能の良さも関係してくるけどね。
ただし、色再現性などに関しては“いま一歩”という印象を受けたので、よりハイクォリティな画像を求めるなら、やはりRAWデータを現像する必要があるだろう。
あと、意外と言ってはナンだが、思った以上に操作性が良かったのがウレシイ。DPシリーズ初の「レンズ側マニュアルフォーカスリング」は自然に操作できるし、使用頻度の高い機能を登録して呼び出せる「QSボタン」もかなり好印象! あと、3.0型・約92万ドットの液晶モニターの表示品質も、従来モデルと比べると、かなりイイ感じである(カメラを振ると表示がユラユラ歪むのが少し気になるが)。
ただし、充電式専用バッテリーの撮影可能枚数が「約97枚」と極端に少ないので、予備バッテリーは必須。最低でも1個、できれば2~3個は用意したいところだね。
◆シグマ DP2 Merrill 30ミリF2.8 絞り優先オート F3.5 1/125秒 WB:晴れ ISO100 JPEG
◆シグマ DP2 Merrill 30ミリF2.8 絞り優先オート F3.5 1/50秒 -0.3補正 WB:晴れ ISO400 JPEG
◆シグマ DP2 Merrill 30ミリF2.8 絞り優先オート F2.8 1/125秒 +0.3補正 WB:くもり ISO200 JPEG
◆シグマ DP2 Merrill 30ミリF2.8 絞り優先オート F5.6 1/50秒 -0.3補正 WB:くもり ISO200 JPEG