機材レポート

本体価格980円の安すぎるカメラバッグを発見! 怖いもの見たさで購入してみたが……意外に重宝!?

5,000円以下限定“安良”カメラバッグ探訪 第2回「Goshang カメラリュック」

インターネットでカメラ機材を眺めていると「うそ! こんなに安いモノがあるの!?」という製品を発見することはないだろうか? しかし、賢明な読者諸氏のほとんどは「きっと、安いのにはそれなりの理由があるはず」と冷静になり、購入に至らないことも多いだろう。とはいえ、気にはなっている。今回は、そんな格安カメラ機材のなかでも“使い心地”がものをいうカメラバッグについて、実際に購入して試してみようという企画である。

▲Amazonなどのオンラインストアを見ているうちに発見したのが、今回紹介するGoshang カメラリュックである。

 

とうとう発見した本体価格1,000円以下のカメラリュック

5,000円以下の“安良”カメラバッグを探し出すために、なにかおもしろそうなカメラバッグはないかと、インターネット上を探し歩いて(?)いたところ発見したのが、今回紹介するGoshang カメラリュック。Amazonにて筆者が購入した際の価格はなんと本体価格980円であった(ただし原稿執筆時点の2020年5月末に再度確認すると1,093円~に値上がりしていた)。

 

何度も本体価格といっているのは、筆者はAmazonプライムの会員だが、Goshang カメラリュックはプライムの対象外で送料が別途500円必要だったためである。それでも合計1,480円、ちょっと心配になるほど安い。商品の到着には約半月ほどの時間が必要ということなので、海外から届くのだろうと予測。どの程度のクオリティなのか、怖いもの見たさもあり注文した。

▲予想どおりというか、すでに見慣れた感のある中国郵政で届いたカメラバッグ。袋にはクッション材などが入っている様子はない。

 

▲送り状などが貼られたビニール袋から出した状態。商品直入れではなく、透明ビニールに包まれていたことに感心した。

 

ペラペラでかなり軽いがきちんとカメラリュックになっている

▲カメラリュックとしてはスタンダードな3列レイアウトになっており、面ファスナーで仕切りの大きさの調整が可能になっている。

本体価格980円のカメラリュックに大きな期待をして購入したわけではないが、ビニール袋に包まれて国際郵便物として届いたGoshang カメラリュックは、梱包ごと受け取った瞬間からびっくりするほど軽い。

 

商品紹介ページでスペックを改めて確認してみる。

商品名
Goshang カメラリュック ビデオカメラリュック カメラバッグ デジタルリュック 多機能 メッシュ袋 仕切り付 一眼レフ ミラーレス 大容量 ビジネス 旅行 登山 アウトドア用 衝撃吸収素材 軽量 防水
【材質】三層構造:①表生地:600D高密度ナイロン②塗装層:防水コーティング③裏生地:耐衝撃クッション。可動仕切りは厚めのクッション生地でカメラ&レンズを守って。
【多機能】]高伸縮性の1つの長いショルダーストラップ、減圧記憶フォーム、アメリカのデザインはとても良いです。
【収納力】1個カメラ+1個フラッシュ・スピードライト+3枚レンズ+アクセサリ
【サイズ】34cm*25cm*12.5cm。重さ:約0.5kg
【取外し可能な内装】一眼レフ本体、レンズ、アクセサリーを効率よく収納するためにカスタマイズが可能です、仕切り板を自由に組み合わせてカメラやレンズなどを簡単に収めます。
※原文ママ

 

スペック上は約500gというGoshang カメラリュックの質量は、中国郵政の送り状では0.45kg、実際にリュックだけを取り出して計ってみたところ約320gしかなかった。約34cm×25cm×12.5cmで、カメラ本体1台、クリップオンストロボ、レンズ3本が入るというカメラリュックの質量が約320gである。気になったので我が家にあるカメラリュックでもっとも小さい「Amazonベーシック カメラリュック 一眼レフ用 12.1L ブラック」の大きさと質量を調べると約39.6cm×29.2cm×18.3cmで約889g。Goshang カメラリュックの約3倍だ。ちなみに価格も約3,000円なので約3倍である。

 

Goshang カメラリュックは、その質量からも想像がつくようにかなりクッション性に不安のあるペラペラとした素材であることを除くと、かなりよくできている。

 

背面のフタの部分を開けるとメイン収納室の内部は3列の分割レイアウトタイプで、面ファスナーを使って仕切りサイズが調整可能。これはカメラリュックとしては非常にスタンダードで使いやすいレイアウトだ。また、フタの裏側にはメッシュ素材のポケットがふたつ。これも極めてスタンダードなレイアウトで記録メディアやクリーニングクロスなど、薄手のアクセサリーを収納するのに重宝する。多くのカメラリュックでは、フタの部分が二重構造などになっており、ノートパソコンやタブレットなどが収納できるポケットになっていることが多いが、コスト削減のためか、このあたりの機能はない。

 

また、リュックを背負うためのストラップはシンプルな2本のショルダーストラップのみで、リュックを身体に密着させるためのチェストストラップやウエストベルトなどは装備されていない。とはいえ、リュックのサイズ自体がかなり小さめなので、あったとしても使う機会は少ないだろう。

▲カメラリュックの両サイドは同じデザインでベルトループとメッシュ素材のポケットがそれぞれ用意されている。

 

思った以上に機材を収納できるが、そのことが不安材料に

▲ソニー α7R IIIを中心に超望遠ズームの150-600mmなどを含むボディ1台にレンズを4本という本気仕様で収納してみた。

実際にどのくらいの機材を詰め込むことができるのか、まずは35mm判フルサイズのミラーレス一眼ソニー α7R IIIを中心に機材を収納してみた。収納した機材は下記のようになっている。

  • ソニー α7R III
  • シグマ 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary
  • シグマ MOUNT CONVERTER MC-11
  • キヤノン EF17-40mm F4L USM
  • TTArtisan 11mm f/2.8 Fisheye
  • 中一光学 SPEEDMASTER 50mm F0.95 III
  • 予備バッテリー、ブロア、クリーニングクロス、記録メディアなど

すべてを収納した状態での質量は約5.55kgであった。カメラ本体が35mm判フルサイズのミラーレス一眼としては小型のソニー α7シリーズであることもあるが、カメラ本体に超望遠ズームを含むレンズ4本を収納できた。これなら、かなり本格的な撮影にも対応できるだろう。

 

しかし、機材を収納していく際に気になったのは床や地面などにカメラリュックを置いて機材を出し入れする際に下になる部分、つまり背負った時に背中に当たる部分の緩衝材の薄さである。全体にペラペラしていることは最初からわかっていたが、固い地面や床からの衝撃を防いでくれる、この部分のクッション性の低さはレンズやカメラを収納するには不安を感じる。

▲カメラリュックの価格や大きさを考えても、35mm判フルサイズの機材を詰め込むよりもAPS-C機が現実的かと思い、機材を変更してみた。

ソニー α7R IIIを中心とした機材を詰め込んではみたものの、本体価格1,000円以下のカメラバッグに35mm判フルサイズ機を中心としたフルサイズ機や超望遠ズーム、Lレンズなどを入れるのは現実的ではないと考え直して、APS-Cのコンパクトなカメラとエントリー向けのレンズを収納してみた。機材は下記のとおり。

  • EOS Kiss M
  • EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM
  • EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM
  • EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM
  • NEX-C3
  • E18-55mm F3.5-5.6 OSS
  • E16mm F2.8
  • E 50mm F1.8 OSS
  • 予備バッテリー、ブロア、クリーニングクロス、記録メディアなど

すべてを収納した状態での質量は約2.64kg。筆者は、こんなに軽いカメラバッグで撮影に出掛けたことはほぼないが、それでも「エントリーミラーレス一眼1台とレンズキット+軽めのレンズのセット」が二組。収納している機材は一般的な初心者の方の約2倍だろう。これくらいの重さなら、ある程度の余裕があるように感じられた。実際にはEOS Kiss MのセットかNEX-C3のセットのどちらかになることが多いはずだし、それならGoshang カメラリュックで十分といえる。

 

ただし、メイン収納室の仕切りのクッションも薄いのだが、カメラリュックの外側の素材も仕切り用のクッションに負けないほど薄いのだ。ダブルズームのキットレンズや今回収納したエントリーの単焦点レンズはかなり軽いので、超望遠ズームやLレンズ、ガラスの塊のような単焦点レンズを入れたときほどには気にならないが、それでもレンズを出し入れするときに下側になる背中の部分のクッションの薄さが気になる。

 

縫製なども含めて不安なので、試しに10km走ってみた

▲走っているときに何かあるといけないので、実際の機材ではなくペットボトル1.5l×2本、500ml×1本を収納して実験を行った。

安かろう、悪かろうではなく、低価格でも品質のよい製品はたくさん出ているが、さすがに1,000円以下のカメラバッグに数十万円レベルの機材を入れて走る勇気は筆者にはない。そこでGoshang カメラリュックのなかに中身の入ったペットボトル1.5l×2本と500ml×1本を入れた。全体の質量は約3.95kgである。

 

これを背負って約10kmを走り、軽い耐久テストを行った。

▲ショルダーストラップを調整して身体に密着させた状態のカメラリュック。リュック自体はかなり小ぶりなのがわかるだろう。

写真から見てもらうとわかるのだが、身長約168cmの筆者が背負ってもGoshang カメラリュックはかなり小ぶりである。日本の同年代の平均よりも小柄な筆者としては、小ぶりなカメラバッグはありがたい。調整可能なショルダーストラップをかなりタイトにしてリュックを身体に密着させて走った。

 

さすがにゆっくりではあるが走りはじめる際にはチェストストラップやウエストベルトがないのが気になったが、バッグのサイズ自体が小さいこともあり、大きく揺れるという印象は受けない。重心がいつもよりも後ろにいくので走りにくくはあるが、想像したほど邪魔にはならなかった。

 

また走る前に、さすがに縫製部分が切れたり、ほつれたりしては困ると思い、縫い目などをチェックしたのだが、素人が外観から見るぶんには、しっかりと補強して縫っている部分もあり、実際荷物を入れて約4kgの状態で走っても、なんら問題は発生しなかった。思ったよりも、しっかりしている。

 

やはりカメラ・レンズを入れるにはクッション材が薄い。そこで……

▲車中泊での撮影の際などに使っているポータブル電源やカメラのバッテリーの充電器をまとめて収納するのにちょうどよく、重宝している。

Goshang カメラリュックは、APS-Cクラスの小型軽量のボディやダブルズームキットなどのプラスチック主体で作られたレンズといった軽い機材を収納するのであれば問題を感じないのかもしれない。

 

しかし、筆者はどうしてもカメラリュックの外側のクッション材の薄さが気になってしまう。特に背負ったときに背中に当たる、レンズやカメラを出し入れするときは底になる部分のクッション材が薄くて、コンパクトだがずっしりと重い、金属とガラスの塊といった印象のマニュアルレンズなどを収納するには、どうしても安心できない。実際になにか問題があったわけではない。しかし、なにか起きてしまいそうで、自身の機材などを収納したいと思えないのだ。1,000円以下という安すぎる価格も、より不安を大きくしている一面もある。

 

とはいえ、コンパクトでそこそこのクッション性があり、取り回しもよいので、なにか使い道はないかと思っていたところ、以前にポータブル電源のレビューで紹介したsuaoki S270を入れてみるとカメラのバッテリー用の充電器などといっしょにぴったりと収まった。そのため、我が家ではポータブル電源や充電器のバッグとして現在は活躍中だ。

 

個人的にはカメラやレンズを入れるにはクッション性が低すぎると感じたが、ポータブル電源や充電器を入れるのであれば十分なクッション性もあり、重宝している。結果オーライな部分もあるが、送料込み1,480円の機材バッグとしては、とてもよい買い物をしたと思っている。